3.花火大会は恋人たちの巣窟
「周りはリア充ばっかりかよオイ!」
「花火大会ってリア充のイベントだっけ?ねえ?」

珍しく部活は休みで暇を持て余していた。監督が体を休めることも大事だといい今日の自主練は禁止されている。野球以外で本当にやることがなくて、倉持はゲームやるかと言っていた。自分はゲームは得意ではないし、なにをしようか悩んでるところで、クラスの女子の話が聞こえてきたのだ。
「今日○○川付近で花火大会だって」
花火大会かー。去年の夏は練習に練習でクタクタになって結局行けなかった。タイミングよく部活が休みだから行ってみるのはアリだ。
「倉持御幸、花火大会行こうぜ」
倉持は二つ返事で了承。御幸はスコアブックを見たいからと拒否。どこまでも野球馬鹿な男だ。
そして俺と倉持は7時ごろに寮を出て、現地に向かう。○○川に着いたところで冒頭に戻る。

「男二人で来るって寂しくね?」
「言うな、現実を」
相変わらず馬鹿な会話をしながら出店を回る。男二人だが、久々の花火大会に心は踊っていた。
「チョコバナナあるじゃん」
「俺はいらねぇ」
「買ってくるわ」
ポケットから小銭を取り出し一本購入。端の方で待っていた倉持と合流すれば、なんかそれでかくね?と言われた。
「値段の割にな。ラッキー」
一口かじると懐かしの味。うめぇうめぇと言いながら食べてれば倉持がやっぱ俺も食いてぇと言い出したから、残りを全てやった。
「お前うまそうに食うから」
倉持の頬が少し赤い。人混みでこの人口密度だから熱くなったのかもしれない。
「あと何個か買ったら花火見ようぜ」
「おう」
再びで店を周り、お互い焼きそばと唐揚げを購入。人混みの少ないところに向かって歩き出した。
「御幸連れてこなくてよかったな」
ふと倉持が言う。
「なんで」
「女子の目線を独り占めだろ」
「なるほどな」
どこまでも彼女が欲しい男だな、コイツは。周りはリア充ばかりだというのに。
「ま、名前と来られてよかったけどよ」
さらっと無自覚なイケメンセリフは健在らしいが。
「俺も倉持と来れてよかったよ」
「ふーん?」
「彼女も欲しいけど、お前といると気使わなくて済むし」
「だな」



人混みを抜けたあたりでベンチに座る。丁度花火は上がったようだ。
戻る