クリスマス2018
「メリークリスマス!!」
(うるさいな)
煩わしい声で目を冷ますと、隣のベッドはすでにもぬけの殻だった。
渋々体を起こし、談話室に行くとプレゼントの山に埋もれている名前がいた。
「なにしている」
不機嫌あらわにして尋ねると「トムのプレゼントが多すぎて羨ましいからダイブした」と馬鹿馬鹿しい理由が帰ってきた。
「いらないから君にあげる」
(どれもこれもくだらない女どもからだ)
プレゼントの山から一つ小さな箱を取り出すと、その中には小瓶が入っていた。
「これは?」誰からだろうか、カードはないのかと探すが何も付いている気配がない。
名前が「どれどれ?」と起き上がり、トムの手の中の小瓶を見る。そこには透明の液体が小さな便いっぱいに入っていた。
「あ」
名前はその小瓶に見覚えがあった。そのことについてトムにバレるわけにはいかなかったので無言で談話室をあとにする。しかし去ろうとしたが、いち早く気づいたトムに足縛りの呪いをかけられた。
「名前これはなに?」
キラリと黒目が赤く光る。
「なんでもないよ」
「ふぅん?」
トムは疑うように笑む。彼の得意な笑みで。名前は観念して答えることにした。
「……フェリックス・フェリシス」
「え?幸運の液体……?」
思っても見ない答えにトムは一瞬硬直する。しかしそれをトムは聞いたことがあったし、なんども見たことがあった。スラグホーンの部屋で。
「盗ったのか?」
「まさか!!」
足は地面に縛られたままブンブン首を振った。
「作った?名前が?」
ありえないとトムは思った。しかし、いや、まさか。
「飲んでもいいの?」
「うん」
小瓶を開けて匂いを嗅ぐ。なにも臭わなかった。本当に幸運の液体なのだろうか。幸運の液体ならこの後僕は……などと邪なことを考えながら液体を口に含んで、ごくり、一気に飲み干した。
みるみる体の中心からぽかぽかと暖かくなった。
やりたいことがすべてうまく行く。そう思って、名前の足縛りの呪いを解いた。
「フィニート(終われ)」
「わっ」
いきなり動けるようになったものだから、名前は前につんのめる。それをトムが抱きとめた。
「え」
自然と近くなった距離にドギマギする。トムはそのまま名前に顔を近づけた。
「まったまった!!」
キスされそうになったのをすんでのところで止める。トムはたちまち不機嫌になった。
「なぜ?」
「ただの栄養剤!」



怒ったトムにこの後めちゃくちゃにされたのは言うまでもない。
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