Halloween2019
談話室に向かうと、少なからずハロウィンの装飾が施されていた。グリフィンドールと違ってスリザリンはクールで、お祭りごとといえどバカ騒ぎはしない。といってももちろんハロウィンなわけだから仮装してる人もちらほらいるが、グリフィンドール程ではない。そんなスカした集団に、グリフィンドールを見習えばいいのにと名前は思っていた。といっても、自分もスリザリンなわけで。リドルの側近として、行動を慎まなければいけない事が多いわけで。名前の性格はどちらかといえば活発な方だが、やはり周囲の影響もあっていつもは物静かな性格を演じているが、こういう時ほど騒ぎたいと思うのは、元の性格が影響していると言える。だからこそ普段の殻を破って今日はこんな格好をしているわけだが、目の前のトムリドルが冷めた目でこちらを見ているのは当然のことだった。
「はは……トリックオアトリート……?」
勿論ダメ元だ。ダメ元で呟いてるのはあちらも百も承知のことであろう。だが、彼は青筋を浮かべながら苦笑いをして(とても怖い)こう言ったのだった。
「君にいたずらができるのな?」
「ヒィッ!」
 名前は後ずさった。談話室でこのやりとりを見ていた生徒たちは皆静かに退室した。そりゃそうだろう。スリザリンのトップともいえるトムリドル様がこんなにお怒りになっているのだから。
「すみませんすみませんすみません!!」
名前は回れ右をして談話室を後にしようとする。トムリドル様に怒られるくらいならにっくきグリフィンドールにネチネチと陰口を叩かれた方がマシだ。しかし名前の思惑はその通りにはならず首根っこを引っ掴まれトムリドル様の目の前に立たされた。
「グエッ」
カエルが死んだような声を出しながら、トムリドル様の目の前に立つと、彼はなんとも形容し難い笑みを浮かべていた(怖い)。
「名前、話は終わっていないよ」
「は、はぃい」
「それで、君はそんな格好をして僕にどんな悪戯をしてくれるんだい?」
「ででで、できればお菓子を頂戴したく……」
「ふぅん、君って案外欲張りなんだ。お菓子も悪戯もだなんて」
そそそそんなこと言ってません!と名前は心の中で冷や汗をかいた。いや実際にかいていた。だが、長年の経験によりトムリドル様のお言葉を否定するようなことを言った暁にはとんでもないお仕置きが待っているのだ。
「欲張りなクソ豚ですみません!私めは家畜以下です!」
「……誰もそこまで言ってないんだけど……」
トムは呆れ顔で、名前の襟元から手を離した。
「まあいいや。欲張りな君に特別甘いお菓子をあげよう」
「はい?」
名前は疑問に思った。トムリドルがそんな事を言うなんて誰が信じられるか。だが、その後とったトムの行動に名前は赤面するしかなかった。


「ととと特別甘いお菓子ってッ!!」
「ご不満かい?」
トムはくすと笑ってまた口付けた。
(そもそも君がそんな誘うような格好をしているのが悪いよね)
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