クリスマス2018
ver.シリウス

「メリークリスマス!」
(うるさいな)
普段寝起きの悪い名前が今日という特別な日を寝過ごさないのは当たり前のことだった。名前は昔から、休日だけ起きるのが早い父泣かせな奴なのだ。のっそりとシリウスも起き上がり、名前の後に続いて談話室に行った。そこにはプレゼントの山に埋もれる名前の姿があった。
「お前なにしてんの」
シリウスは呆れたように名前に尋ねると「どれくらいの量なのか身体で感じてる」と馬鹿みたいな返答が帰ってきた。
(阿保くさ……)
シリウスはどうせどれも同じような女たちからだろうと、プレゼントの山を漁る。そして1番の目当てのものをみつけた。ジェームズからのものだ。
クリスマスカードを読んで、プレゼントの包みを開けると手のひらサイズの小瓶が出たきた。
「なんだこれ」
シリウスは小瓶のてっぺんから底まで穴があきそうなくらいジロジロ見るが、いたってただの小瓶に透明な液体が入っているだけだった。
「幸運の液体じゃない?」
名前が起き上がり、シリウスの手の中のものを眺める。
「まさか!?」
シリウスは驚きでこれでもかと言うほどに目を大きく開けた。「そのまさかだよ」名前はシリウスの持つ小瓶を奪って蓋を開け、一口だけごくりと飲んだ。
「おい!」シリウスは途端に憤慨したが、名前の「体がポカポカする……」と言う言葉に怒りは治った。
「まじかよ……」
幸運の液体を飲んだことはないが、きっと名前の言う体がポカポカするは本当のことのような気がする。なんせこれは、幸運の液体なのだから。シリウスはちらりと名前をみて瓶の中の液体を一気に飲み干した。瞬間に身体中がブワッと熱くなり、やることすべてがうまく行くような気さえしてきた。
「名前、これ本物かも」
空の瓶をじっと眺めて瓶底に残る幸運の液体を見やる。ただの透明の液体は虹色に反射しているようにも見えた。瓶を机に起き、名前に一歩近づいた。不思議そうに名前はシリウスを見る。
「シリウス?」
黙ったままのシリウスを不可解に思いつつも顔色を伺った。
「あのさ、」
「なに?」
「ごめん嘘」
「はぁぁああああ?」
シリウスは談話室全体に響き渡るような大声で叫んだ。
「ふざけんなよ!」
「ごめん!つい!」


怒ったシリウスが名前を自身のベッドに縛り付けるまであと数秒のことだった。
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