オブリビエイト
信用していないわけではなかった。しかし、ピーターは気が弱いしいたずら4人組の中では魔法もそんなに上手いわけでもなかった。だからもし、闇の帝王を前にした時は、うっかり秘密を暴露してしまう危うさがあった。たまに何を考えてるかわからない節もあり、それに気づいているのは自分と名前くらいだろうと思っていた。だが、守人にピーターも加えた。ジェームズの意向だった。私がジェームズの言葉を裏切れないと知っててジェームズはそういったのだろうか。今となってはそれを知る術もない。



「守人にピーターも加えたらしいね」
ピーターを守人にしてから名前の機嫌が悪い。そりゃそうだろう。彼はピーターを加えるくらいなら自分が守人になると言い切ったのだから。だが、私は断固拒否した。そもそもこの話が出る頃から名前は勿論自分も守人になるのだろうと信じて疑わなかった。しかし私はみすみす自分の恋人を死なせるような真似はしたくなかった。だからこそジェームズとエバンズ(今はポッターだが)に、私からの最初で最後のお願いだといって名前を守人にしないよう頼んだ。勿論私の気持ちを察した二人は名前を守人にしなかった。それに対して名前は怒り、数週間口を聞いてくれなかった。最近になってまた喋るようになってくれたが、その時発した最初の言葉が「破れぬ誓いを立てよう」だった。きっと私が死んだ時、名前も後追いをするという誓いなのだろう。勿論それを許す私ではない。
「今日はピーターの日だけど……」
「心配か?」
「ああ、彼は何かを隠してるんじゃないかって胸騒ぎがするよ」
「だが……」
「ジェームズが決めたから信じるっていうんだろう?シリウスの中ではいつもジェームズは神様だ」
「おい」
「ジョーダンだよ」
闇の勢力が増してきてる今日、私達はいつまでこのように二人で過ごすことができるのだろうか。最悪の事態に備えて名前には……そう考えた時ふと、何かが破れたようなそんな感じがした。
「もしかして……」
「どうした?」
「ピーターが、秘密を喋ったかもしれない。ヴォルデモートはジェームズの家にいる!」
私は名前をおいて姿くらましをした。ゴドリックの谷に着くとそこはすでに戦場とかしていた。炎が上がり家が燃え盛る。ジェームズの家に着くと窓から緑の閃光が漏れていた。
「嘘だろ……」
ピーターはどこだ。アイツが喋らなければジェームズが死ぬことはなかった。すると、見知った後ろ姿が。ピーターに違いない。私は杖を握りしめて叫んだ。
「ピーター!これはどういうことだ!」
「シッシリウス!こっ、こんなつもりじゃ……」
「嘘をつくな!お前が闇の帝王を前に屈したのはわかっている!」
「だだだだって」
「そりゃそうだよなあ!いつも弱腰のお前がヴォルデモートに勝る訳がない!」
「こうするしかなかったんだ!ステューピファイ(失神せよ)!」
「ぐっ」
失神呪文をまともに食らった私はそのまま倒れた。



「エネルベート(活きよ)」
「っ……」
名前の呪文で失神から目覚めた私は辺りを見渡した。そこには灰と化したゴドリックの谷とマグルの死体が数体、ピーターの小指と私の杖が落ちていた。
「……」
「シリウス?大丈夫?」
見上げると涙を浮かべた名前が心配そうにこちらを見ている。可愛い、と場違いなことを考えながら杖をとった。
「ごめんな、名前」
オブリビエイト。名前に杖を向け呪文を唱える。名前と過ごした日々の映像が光の道筋を通って走馬灯のように流れた。名前が崩れ落ちる瞬間にさっと抱きとめて、額にキスを落とした。
きっと私はこれから親友を殺した罪人としてアズカバンに送られるだろう。名前が辛い記憶を思い出さないように、共犯となってしまわないように。全ての罪を私が引き受けよう。名前、いつかアズカバンを出る日が来たら。私の罪が無罪だと認められたら。もう一度やり直そう。私はいつまでも名前を愛そう。必ず迎えに行く。そう誓って、最後に名前の唇に口付けた。


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捏造設定あり。
秘密の守人が数人いて、秘密が破れた際、他の守人にも伝わる設定です。
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