憂鬱な日
*憂いの横顔

ねっとりしていて、陰鬱で。
おまけに闇の魔術に長けていてスリザリンで。
相反するような存在の自分とはまるで闇と光。
ベタベタで絡みついてくるような、しっとりした髪に鉤鼻。顔も青白く血色が悪い。絶対自分の友達だとは紹介したくないような、影を背負った男。だからこそいたずら4人組が、あいつをいじめようと止めることをせず、その様子を見て鼻で笑っていた。ああ、どんくさいやつだと。おまけに、彼が憤って四人に反抗する態度を見せれば、今度は自分が影からこっそり魔法を仕掛けてやった。まんまとそれにかかる様ははっきり言ってマヌケだ。魔法使いの決闘なんて知ったこっちゃない。相手に隙を見せたら負けだ。と、そう自分は思い込んでいた。

誰も彼に近づくことはない。だからこそ一人でいる彼を見かけることが多いのだが、一人で本を読むその横顔は、まるで憂いを帯びていることに気づいた。その様子を見ているとこっちまで気分を悪くしそうだ。
「チッ」
名前は大袈裟に舌打ちをするが相手には聞こえていない。憂える横顔は、人によっては声をかけたくなるような心配する気持ちが強くなるのに、セブルスがするとじめじめと雨の日のような鬱陶しさが、胸の内を侵食していくのだ。


*鬱陶しい感情

蟻が死んだ虫に群がるように、気持ち悪いものが胸の中を蔓延っている。それもきっと、あんな陰湿な野郎をみたせいだとそう思った。そうでもしないと、気を抜いたら昼間に食べたスコーンとカボチャスープが今にも逆流してきそうな勢いだ。名前はなるべく、セブルスの顔を思い出さぬよう努めたが、いかんせん次の授業は魔法薬学で、憎っくきスリザリンと合同授業なのだ。いやでも顔を合わせてしまうので、名前は本気で授業を休もうかと考えたが、結局そんなことをする勇気もなく、ただただ彼の顔を見ないように、端の席を選ぶことしかできなかった。いつまでも鬱陶しい感情は、吐き出すこともできぬままに、苛立ちだけを名前に募らせた。



*なかなか忘られなくて

次の日も次の日も、寝ても覚めてもあの顔が忘れられない。何度頭を箪笥に打ち付けたことか。同じ部屋の友人達にはかなり痛い目で見られたが、それよりもセブルスのあの顔を忘れられない自分の方が痛いのだ。忘れることを頭が拒否してるかのように、日毎にその横顔は鮮明になって、まるで呪いのようにいつまでも自分を縛り付けた。終いには、夢に出てうなされることもあった。忘れたいのに忘れられないのは、今までいじめてきた分の仕返しだとでもいうのか。今はまだ気付かぬ思いに、名前は憤りを感じていた。



*日を追うごとに深くなる

とうとう認めざるを得なくなった。名前は馬鹿げたこの感情に終止符を打ったのだ。うんざりとした感情が日を追うごとに深くなるのは、自分が恋をしてるからじゃないのかと、そう思ったからだ。まるで吐き気がする。陰湿で根暗なセブルスに恋をするなんぞ言語道断、笑止千万。しかし、はっきりとした解答を求めるなら、恋、この一言に尽きた。名前は初めて死にたいと思った。こんな馬鹿げた話があるはずがないとも思った。自分がいじめていた相手を好きになるなんて、きっと相手も自分を好きになることは一生ないのだ。寧ろ、自分をいじめた相手という嫌な記憶だけが、彼の苦い思い出として一生残るに違いないのだ。だからこそ、名前はいつまでもこの気持ちを認めたくなかった。きっと名前にとって、セブルスのあの横顔を見てしまった日ほど、憂鬱な日はない。


憂鬱な日 fin.



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「永遠少年症候群」様より
-憂鬱な日-
憂 憂いの横顔
鬱 鬱陶しい感情
な なかなか忘れられなくて
日 日を追うごとに深くなる


セブルスが嫌いな主人公の絶対に認めたくない苦い恋。

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