魅惑の果実
IDEAという組織は、少人数ながらも流石は優秀な人材の集まりで、IDAスクールに蔓延る様々な事件を解決してきた。しかし、最近頻繁に起こっている『夢意識事件』はIDEAの会長であるイスカを悩ませていた。
「出所不明の青リンゴ。それをアンドロイドから受け取った生徒は皆『ヤミリンゴ』と口にしていたそうだ。その生徒によると、『ヤミリンゴを食べると願いが叶う』とアンドロイドから言われたらしい」
「ふむ、そのアンドロイドとどうにか接触したいものだが」
「ああ」
IDAスクールH棟内のとある一角に構えるIDEA作戦室では、イスカとクロードを囲みながら会話がなされる。そこでふと名前は気になっていたことを口にした。
「でもそのアンドロイド、『ヤミリンゴ』を渡す相手を選んでるわよね?そのアンドロイド、何故か渡した生徒達の心の闇に気づいているようだった」
「名前、その通りだ」
イスカは頷く。
「しかも、アンドロイドと言ったらIDAスクールには何体ものアンドロイドが存在している。スクール内にいるアンドロイド達は皆姿形が同じであるから、一重に『ヤミリンゴのアンドロイド』の見分けがつかない」
イスカの言葉にクロードが続く。
「複数体の組織的な犯行と考えるのが妥当か」
クロードの言葉に、皆苦虫を噛み潰したような顔をした。
「ここまで長期的な話になってくると、生徒達に隠し通すのも時間の問題かーー」
「既に噂は広まっているわよ」
名前の言葉にイスカもクロードも口を閉じた。彼らが何よりも恐れるのは、その噂が着色されて悪い噂が良い噂になってしまうことだ。『願いが叶う』と言われたら、誰でも青リンゴを口にしてみたくなる。そうしたことで、『ヤミリンゴ』を口にする生徒が増えてしまうのは困るのだ。
「『ヤミリンゴ』により作られた夢意識の影響はまだ情報不足だが、IDAスクールだけでなくシティ全体に関わってくる大きな事件になると予想される。皆『ヤミリンゴを持ったアンドロイド』には十分注意し、また接触した場合は一人で行かないこと」
「はい」
会長であるイスカの言葉を最後に、『夢意識事件』の会議は幕を閉じた。
戻る