#03
隣の温もりを感じずに目を覚ました時間帯は、俗に言う丑三つ時だった。
「名前……?」寝惚け眼を擦りながら辺りを見渡すが、そもそも彼女の気配がない。クロードはベッドから抜け出して、部屋中の明かりを灯した。しかし、彼女の姿はなく玄関に靴も残っていなかった。
「こんな時間に出掛けたのか?」
クロードはあり得ないと思いながらも、自らも家を出た。彼女が知らないところで事故に巻き込まれていたらと考えたらゾッとしたからだ。


いつも冷静なクロードは珍しく焦りを感じていた。ラグナガーデン付近にもセントラル・パークにも彼女の姿は見当たらなかった。まだ探してないところとすれば、エルジオン医大病院の方か、シティ・エントランスになるが病院とは考えにくい。すると、シティ・エントランスになるが、こんな真夜中にエントランスまで足を延ばす理由が見当たらない。だが、家の近くにいないとなるとやはりそこまで探してみるべきだと思い、クロードはセントラル・パークからシティ・エントランスにでた。人っこ一人も見当たらないが、クロードは望遠鏡の足元に何かの影を見つけた。近づいてよく見てみると、球体でありーー一部欠けておりーーそこまで考えてはっと、気づいた。『ヤミリンゴ』だ。クロードは望遠鏡周辺を見渡した。どこかにヤミリンゴによって作られた夢意識があるはずだ。ーー見つけた。クロードは望遠鏡の近くの植木に近づいた。昼間と違って見えにくいが昼間だと丁度木陰になる辺りに、誰かの夢意識の入り口を見つけた。
「名前……なのか……?」
クロードは信じがたいものを見た気分になった。何よりこの夢意識が愛する人のものだと思うと、中に入って己の手で彼女を救いたかった。しかし、流石はクロード冷静で、まずは会長への報告が先だと踵を返した。彼女かもしれないと言う不安に耳を塞ぎながら。



ーーIDEA作戦室

「シティ・エントランスの望遠鏡付近は閉鎖した。クロード、まだ名前の夢意識と決まったわけではない。彼女は偶々その場に居合わせ、夢意識に入っていったのかもしれない」
「……」
クロードは無言だった。表情にはでていないが、奥歯を強く噛み、両手はきつく握りしめていた。イスカの言うように、夢意識に入っていってしまったのならどうしてと言わざるを得ない。
「クロードの判断は正しい。まだ解明できていない夢意識に一人で入るべきではない。ただ、名前のことが心配だ。早速準備して行こうじゃないか」
イスカは腰の刀の柄を握った。「必要時はこのアドミラルも使う」イスカの言葉にクロードは強く頷いた。
「民の危機に王が弱腰では虚飾の王というもの。民あっての王であり、王あっての民だ」
イスカはクスッと笑った。
「それでは、早速夢意識の調査に行こうか。そして名前も探し出す」
イスカの言葉に白制服の生徒達は準備に取り掛かった。
ーー名前、今行く。
クロードは先陣を切って歩き出した。



ーー???

「……ク……ド……」

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