笑わない料理人
高校入学して記念すべき第1回目の授業は、シャペル先生の授業だった。「おはよう、若きアプランティ達よ」
「あ、アプ?」
「フランス語で見習いって意味だよ」
「ほー」
創真くんは外国人講師に興味津々なようだ。
「そんな珍しい?」
「あー、一般の中学校とかだと英語の先生とか海外の先生だけど、こうやって料理を教えてくれる先生も普通に色んな国から来てんだなーと」
「うんうん、ローラン・シャペル先生は我が母国の先生で、フランス料理を主に教えてくれるよ」
「へー、面白ぇ」
「ところで、恵ちゃん汗やばいけどダイジョブ?」
「あわわわわ」
恵ちゃんはどうやら退学がかかっているこの授業にかなり焦っているらしい。
「……」
「恵ちゃん凄いあがり症だけど、落ち着いてる時は本当に美味しいもの作るんだよ!創真くんペアになったら恵ちゃんのことよろしくね」
「おう!」
(名前ちゃんとがいいべ、編入生となんて命がいくつあっても足りねえべさ〜)
*
「よろしくな田所!」
「うわぁあああん」
「?」
私の思った通り、創真くんと恵ちゃんはペアになった。うんうんイイカンジ。ところで私のペアは……。
「よ、よろしく四宮さん」
(やったー!四宮とペアなんて俺ついてるーー!)
「う、うん」
話したことない男の子だった。まあでも誰がペアでもいっか。だって今日のお題はブッフブルギニョン。一般家庭でもよく食べられる品だ。まあ、私にこのお題は日本人に味噌汁を作れ!という課題を出しているようなものだ、多分。
「Commencez à cuisiner」
「???」
「調理開始だって」
「ナルホド」
いちいち反応する創真くんが面白い。でもブッフブルギニョンのこと知らなかったみたいだけど大丈夫だろうか?
チラと自分の料理を進めながら創真くん恵ちゃんペアを見てみる。私の心配は杞憂だったようだ。
「あと20分煮込めば完成だね」
ペアの男の子が火加減を見ながら微笑んでくる。私はジャガイモの皮を剥きながら男の子に声をかけた。
「あと40分弱火でじっくり煮込むよ。手際良かったから時間たっぷり余ってるし」
男の子は目を見開いた。
「ナニ?日本人は2日目のカレーの方が美味しいっていうでしょ?煮込めば煮込むだけ、味もお肉もコクが出るよ」男の子は黙って私のいう通りに火を弱めた。
その間にサッと皮剥いたジャガイモを茹でて柔らかくなったらバター、ミルクを加えてマッシャーで潰す。塩と胡椒で味を整えたら完成だ。
「できたよ」
「ウィ!こっちも」
男の子がブッフブルギニョンを火からあげると、平たいお皿に綺麗に盛り付ける。彼が満足そうにどう?と丁寧に盛り付けられた皿を私に差し出してきたので、皿を鍋の上でひっくり返した。
「しっ、四宮さん!?」
男の子は相当びっくりしたようだ。
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