※現パロ




わたしには密かに気になる人がいる。その人はわたしの職場の隣の職場で働いている。どんな人かというと性格については分からない。なぜならわたしと彼は知り合いではないからだ。見た目については大人しそうに見えるけど、どこか野性的な感じ。あれだ、すこしワイルド。体は華奢ではあるものの、鍛えられているようでとても引き締まっていた。

「(格好いいんだよなあ〜)」

もう仕事してても彼のことばかり。振り払おうとしても頭の中から彼はどいてはくれない。話したこともないのに…これは重傷だ。

「(なんとかしてお近づきになれないものか…)」

少し、たった少し話せるだけでいいから。そうしたら満足できるのに。何で同じ職場じゃないかなあ。隣なだけ望みがないわけではないんだろうけど。…いけない。なんか微妙な気持ちになってきた。気晴らしにジュースでも買ってこよ。






店外の自販機に行くと近くのベンチに既に先客がいた。そしてそれが誰かを認識した瞬間、わたしの意識はぶっとびそうになった。だって…だって………そこにはコーラを片手に物思いにふけるワイルド君(仮)がいたからだ。ど、どどどどうする…わたし??!

「………」

とりあえず震える手でボタンを押し、ジュースを購入。そしてどうしようか迷ったけど立ち去るのもせっかくのシチュエーションがもったいないし、ワイルド君から少し距離をとって隣に座った。………。

「隣で働いている、よな」

「…えっ!は、はい」

わわわわわ!ビックリした…!(挙動不審になりながらも)ジュース飲んでたらいきなり声かけられるんだもん。でも話しかけられたこと、何よりわたしのことを知ってくれていたことが嬉しくてそんなことは一瞬のうちに頭から消えさっていた。

「あなたも隣で働いていますよね」

…って何言ってるんだわたしー!!さっきワイルド君(仮)が隣で働いているよな、って言ったばかりなのに。バカだと思われたな絶対…。恐る恐るワイルド君を見ると柔らかい笑みを浮かべていた。(えぇっ〜?!)

「…面白いやつだ」

フッ、と笑いそう言うワイルド君がかっこよすぎでどうしようかと思った。…名前、聞くなら今しかないっ…!

「あのっ…名前を教えてもらっていいですか?」

そう聞くとワイルド君は少しだけ驚いたような顔をしていた。

「俺は…ヒイロ・ユイだ」

話したこともない相手にも不審がらず名乗ってくれる彼は優しい人だと思った。ヒイロさん…。彼はヒイロさんというのか。どこかの大手の会社の社長もそんな名前だったな、なんて思うものの気になる人の名前というのはやっぱり不思議なもので。ヒイロさん、そう心の中で思うだけで胸がギュッとなる気がした。

「あの、わたしは…」

「いい、知っている」

サナダ…ミヅキ、だろう。しれっと答えるヒイロさん。わたしは対照的にマヌケ面。な、なななな何で…!何で名前知ってるの…?

「何で、名前知ってるんですか…?」

「…考えれば分かるだろう」

ぶっきらぼうにそう言い視線をはずしたヒイロさん。な、何それ…?考えれば分かる、ってそんなのわかるわけない。だって今わたしの頭の中に浮かんでいる答えはわたしに都合のいいもので、正解とは思えないから。
でもヒイロさんの頬がほんのり赤く染まっているのを見て、もしかするとわたしの考えている通りなのかもしれないと思った。…期待してもいいってことなのかな?

・・・
0329/title 無垢

乙女座のユニコーン