オイ・ニュング伯爵がギロチンで処刑された。しかも見せ物のように大衆の目の前で。…許せない。伯爵を連れ去ったスパイもザンスカール帝国も。映像を見たウッソくんはショックを受けていた。…あたりまえだよね。ウッソくんより大人であるわたしだって体の震えが止まらないんだもの。
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映像を見たあの日から何度も夢の中でギロチン場の風景が蘇る。もうなんなのこれ。わたしおかしくなっちゃいそう。
「はぁっ、はぁ…」
同じ夢を見ては目覚めて、の繰り返しで精神的にもまいっていた。
「…眠れないんですか」
「…ウッソくん?」
驚いた。隣からは寝ていると思っていたウッソくんの声がしたから。
「僕も…眠れないって。何度も同じ夢を見ちゃうんです」
「ウッソくんもなんだね。…わたしも同じ。あの光景が頭から離れなくて」
そう言えばウッソくんは僅かに顔を歪めた。たぶん、あの光景というものがウッソくんも何度も見るという夢と一致しているからだろう。
「…僕の頭の上からギロチンが落ちてきて頭がとばされた瞬間に目が覚めるんです」
眠ることが怖くなってきてるんです、そう言うウッソくんの声はいつものような勇ましさはなくとても弱々しかった。それなのにかける言葉も見つからなくて、いつも助けられてるのにわたしは助けてあげられなくて……なんだか無力なんだなってあらためて思った。…そうだ!
「あのさ、良かったら一緒に寝ない?」
「えっ!」
「いや、あの変な意味じゃなくてね…ふたりで寝ると不安も紛れるかなって思って」
とか言って本当はわたしが一緒に寝てほしかったりするんだけど(なんてかっこわるいから言えないや)
「…そうですね。ではお願いします」
ウッソくんは少し迷ったみたいだったけどわたしのベッドの方に来てくれた。照れ屋な彼のことだろうから来てくれないかなと思ってたから良かった。
「…ウッソくんもっとこっちおいでよ。布団からはみでてる」
「ぼ、ぼくは大丈夫です」
「だめだよ」
「ぅわっ!」
そう言って無理やりウッソくんを引っ張る。だってウッソくん端によりすぎなんだもん。
「…ごめんね。でもくっついていた方が安心するから……」
「…ミヅキさん?」
「わたしの方がウッソくんに甘えちゃって…情けなくてごめんね。でもわたしもこうしてないとどうにかなっちゃいそうで」
「…ぼくもこうしていると安心します」
だから大丈夫です。そう言ってくれるウッソの優しさと涙が出てきそうだった。ごめん情けない年上で。
「…なにかわたしでできることがあったら言ってね。ウッソくんまだこどもなのにわたし守ってもらってばかり」
「……じゃあたまにでいいのでこうして甘えさせてほしい、です」
そうしたらまた頑張れる気がするので、そう言うウッソくんが愛おしくなってぎゅっと抱きしめた。わたしでよければいつだってウッソくんのそばにいるよ。
「いつでも甘えてね。…わたしでよければだけど」
「はい…ありがとう、ミヅキさん」
どうかウッソくんが今夜、ぐっすり眠れますように。そして少しでも力になれていますように。
・・・
120429
乙女座のユニコーン