わたたしは恋をしている。相手はサプレスから召喚されたバルレル君。普通人間であるわたしが悪魔の彼を好きになるのはおかしいと思われるかもしれない。でもわたしは本当に本気で彼のことが好きで日々それなりにアピールもしている。アピールといってもお酒について詳しく勉強しバルレル君がお酒の本を読む時間に部屋に先回って話しかけたり、マグナさんが釣りをしている時に隣にいるバルレル君に偶然をよそおって話しかけるといったさり気ないアピールだ。そんな地味な努力を重ね続けた結果、最初は拒絶気味な対応だったバルレル君もだんだん普通に話してくれるようになった。今でも自分でもそれなりにバルレル君と仲がいい方だと思う。だからといってバルレル君にわたしの気持ちがバレているはずなんてありえない。だって、だって、少しずつ慎重に距離を近づけてきたんだもの!
…なのにこの状況はなんなのでしょう?

「モ、モウイチドイッテクダサイ」

「(なんで片言?)
…だからお前俺のこと好きなのかって聞いてんだよ?」

な、なんでバレてるのおおおお!バツが悪そうに頬をかくバルレル君を見て、この場から全力で立ち去りたい気分になった。穴があるなら入りたい、切実に。俯きがちになんで?そう聞けばアホ女が言ってた、だって。アホ女、アホ女って…。アメルさんじゃないかー!!

「ええええ……!」

思わず頭を抱えてしゃがみこむ。もう何なの本当勘弁してくださいアメルさん。なんてことを言ってくれたんだ。あとで思いきり文句を言ってやろう、アホ女って叫び歩いてやる!…いや、そんなこと実際怖くてできないんだけどね。
…まあ、もうバレたことには変わりはない。この際開きなおってやろうじゃないの!!

「おい…?大丈夫かよ」

わたしが悶々と一人の世界に入っている間それ以上何も言わないのをわたしを心配してか(不審に思ってか)バルレル君に話しかけられた。……よぉし、わたし頑張るっ!当たって砕けろだよね!そう覚悟を決めるや否やバッと顔を上げる。ビクリ、と反応したバルレル君が視界に入る。

「わたし、バルレル君のこと好き!ずっと好きだったの!!!」

思った以上に声が大きくなってしまっ。そしてまさかのしゃがみこんだ体制での告白。ああああわたしどんだけ興奮してるのおおお!またもや急激に穴に入りたい欲求に押された。…がそこをグッと我慢してバルレル君をチラリと見る。するとバルレル君はバツの悪そうに頬をかいていた、さっきとは違い頬を赤くして。わたしは予想外の彼の表情にただただ呆然とする。だって嫌な表情をされると思っていたから。

「…ケッ、本当だったんだな」

「あ、あたりまえだよ!」

バルレル君のことを好きっていう気持ちに嘘なんかない!恥ずかしさをこらえ、ぐっとバルレル君の瞳を見つめるとふわり、と抱きしめられた。……え?!


「好きだ。」

「…はい?」

「俺様もお前のことを好きだっつってんだよ、アホ女」

…好き、バルレル君がわたしのことを?なんだか頭がついていかなくて、理解できなかったけどバルレル君の体はとても熱くてドキドキしている感じが伝わってきて、なんとなくだけど本当なんだって信じられた。

「本当、ナノデスカ?」

「(また片言かよ)ケッ、この状況で嘘なんかつくかよ」その言葉を聞いた瞬間わたしの目からは涙が溢れていた。片思いが報われて、そしてあまりに幸せで。わたしの涙がバルレル君の首筋を濡らす。

「泣くやつがあるかよ
…ったくテメーは本当にアホ女だよな」

そう言いながらもわたしの涙をなぞるバルレル君の指はとても優しくて、わたしはさらに涙を流した。

「お前のすぐピーピー泣くところも可愛いと思うなんて、俺様も重傷だな…」

「わたしねバルレル君のそういうツンデレなとこ、すごく好きだよ」

「…あ、ああ
(ツンデレってなんだ?)」

こうしてわたしとバルレル君は両想い、晴れて恋人同士となったのです。






「今日はあの子とバルレル君との交際記念だからとっておきのお料理作らなきゃね」

「あの二人やっとくっついたわね
両想いだって気づいていなかったのは本人たちだけだったからなんだか安心したわ」

「では、さしずめわたしは恋のキューピットというところでしょうか」

どうやら二人の交際には陰でアメルさんが奮闘してくれていていたようです。

・・・
101016
いこちゃんへ相互記念!

乙女座のユニコーン