目の前には普通よりも2、3倍はあるでっかいパフェ。きらきらとしたフルーツやゼリー、クリームがふんだんに使われていていかにもミヅキが好きそうだ。そしてそこにささる2本の可愛いらしいピンクのハートがついたスプーン。甘いものは嫌いじゃないがさすがにこの量は…。それにこの可愛いすぎる見た目も俺にはどう見ても不釣り合いだ。しかもここは軍公共のレストラン。他のみんなの目も正直気になる。ていうか今も若干視線を感じている。…それにビクトールやニナに見つかったら。もしくは耳に入ったら。…考えるだけでも恐ろしい。ちらり、ミヅキの方を見てみる。

「わ〜!!すごく美味しそう!!どうしよう、夢みたい!!フリックさん、早く食べましょうよ」

目をキラキラしてハートのスプーンを持っているミヅキはめちゃめちゃ可愛い。今更無理だなんて言えない雰囲気だし…やっぱり俺も食わなきゃダメなんだろうな。…まあ仕方ない。他のやつに見られるよりミヅキを悲しませる方が嫌だからな。

「ああ、…いただきます」

…うまい。さすがハイ・ヨーが作っただけある。

「おいしいですね、フリックさん」

「ああ、これはうまいな」

「これカップル限定って書いてあるじゃないですか?だから絶対にフリックさんと来ないとって思って。それに最近戦いが多くてフリックさん疲れてるかなって……」

「…ミヅキ!お前、俺のために………」

なんて優しいやつなんだ…!たしかに俺は最近疲れていた。でも顔や態度には出さないよう意識していたつもりだったんだが…。だからこそビックリした、そして嬉しくもあった。それだけ俺のことを気遣っていてくれてたんだな。それに俺と来たい、ってのが結構きた。…別に少し涙ぐんだりなんかしてないからな。

「ありがとう、ミヅキ。少し照れくさいが…二人で食べるか」

「!はいっ」

いつもなら恥ずかしくて他のやつらの前でこんなことは絶対にできない。でも今日はいいか、なんて思った。ニナがきてももはや関係ないとまでに思う。

「フリックさあああああん!!」

「…はっ?!」

そう思っていたら本当にニナがきた。(神様は俺に何か恨みでもあるのか…!)

「ミヅキずるいわよ!わたしだってフリックさんと一緒に食べようと思って今日朝からずっと探してたんだから!でも全然見つからなくて……城中走り回ったらフリックさんはレストランにいるって聞いたの」

息を切らしてそう言うニナからは殺気のようなものが感じられ正直怖い。

「だ、だからな、ニナ。俺とミヅキは恋人同士で…」

「そ、そんな…。フリックさんわたしのことを弄んでいたのね。あんなこともした中なのに…」

「いやむしろ俺が被害者だからな」

毎日毎日追いかけられて待ち伏せされて加害者な部分は全くない。

「ね、だからわたしもそれ一口食べていいでしょ。せめて」

「お、おい!」

俺が食べていたスプーンをひょいと取り上げパフェを掬おうとするニナに本気で焦る。それはミヅキが俺のために…。

「ごめん、ニナちゃん」

その時、ミヅキがニナのスプーンをぬきとった。

「これはわたしとフリックさん二人だけで食べきりたいから…ごめんね」

申し訳なさそうに、でもはっきりそう言うミヅキ。その顔はとても凛としていて思わず魅入ってしまう。

「………認めないわよ。フリックさんをミヅキさんから私にいつか振り向かせて見せるわ」

プリプリとニナは怒りながら去っていってしまったが、俺の頭の中ではさっきのミヅキのセリフがリピートされていた。いい年して、と思われるかもしれないが嬉しいものは嬉しいんだ。…ニナに対しては少し胸が痛むが。俺がミヅキを好きなようにニナも俺を好きでいてくれているのだから。

「…わたしも精進しなきゃ」

「…は?」

「かわいくて強くてフリックさんに相応しい女にります!ニナちゃんというライバルには負けないですからっ」

だってフリックさんのこと好きですから…。そう言い抱きついてくるミヅキが可愛いくて可愛いくて仕方がない。もはやレストラン内は(俺とミヅキの周りは)ふたりの世界になっていて、ここが公共施設だということを忘れて、抱きしめ返していた。ああ、大好きだ。あとでビクトールにからかわれようがもはやどうでもいい。

・・・
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乙女座のユニコーン