後ろのだいぶ遠くから美月ーってすごい大きな声でわたしを呼ぶ声が聞こえて、振り返ると目の前には悟空さんがいた。

「えっ?!わわわ、ビックリした〜!めっちゃ走るの速いですね。…ていうか何で抱き締めてるんですかぁぁ!」

悟空さんがいると認識したと同時にわたしはなぜか抱き締められていて、いきなりわけわかんない恥ずかしいし…離れようと体を動かそうとする。けど、わたしの腰はしっかりホールドされてて目の前には逞しい胸板。逃げるどころか身動きすらとれない。あっ、ていうか今お尻撫でた!

「離してください〜」

「嫌だ。だって美月離したら逃げちまうだろ?」

「そりゃそうでしょ!」

だって付き合ってもないのにいきなり抱き締めるはお尻撫でるは…けど悟空さんてばしれっとしてて、絶対自分が恥ずかしいことしてるって気づいてないし…!チラッと悟空さんを見上げるとニカッとそれは眩しい笑顔を向けられた。それにつられてわたしもニカッとしてしまった。…なにやってんだわたし!

「あの、本当、恥ずかしいんで離れましょ!」

「恥ずかしい?照れてんのか?」

少しだけわたしの肩を押してわたしの顔を覗きこむように見る悟空さん。…ちょ、ちょいちょい、顔、近い!

「はは、顔真っ赤だぞ美月」

「一体誰のせいだと思っとんですか…」

「え、オラ?」

「オラです!」

もう一体なんなんだこのひとは。わたしのことからかってるんじゃないかと言いたいところだけど悟空さんはたぶん天然でやってることだから怒るに怒れない。ていうか怒っても疲れそう。

「悪かったな。美月見てたら体が勝手に動いててよ。気がついたら抱きついちまってた」

はっはっは!と言わんばかりに笑う悟空さん。ま、またそんなこと言っちゃって…。ドキドキしちゃうからやめてほしい。

「もう!からかわないでくださいよ!」

「悪かったって。けど、やっぱり美月っていい匂いすっし柔らけぇし、オラずっとこうして抱き締めててぇ」

なんか安心すんだよな、こうしてっと。そんなことを急に言い出すもんだから頭がヒートアップしてこの場から逃げ出したくなった。そんなことまでさらりと言っちゃうとかどんだけ天然なの…!

「もう恥ずかしい〜〜!」

抜け出せないと分かっていつつもじたばたと悟空さんの腕の中で抵抗する、けどやっぱり動かない。ぎゃーぎゃーと恥ずかしがって体をよじったり押したりするわたしを見てほんと可愛いな美月は、なんて言うものだから今度こそわたしは大人しくなった。悟空さんには敵わない。

乙女座のユニコーン