寒い、何気なく言っただけなのにまさかこうなるだなんて想像もつかなかった。
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「バ、バババババーダックさん…!ななななな…!」
わたしをぎゅうと抱き締めるのはバーダックさん。い、意味がわからない…何で抱き締められてるのか。そりゃ寒い、とは言ったけど普通やんないよね??!だってわたしバーダックさんとそんなに仲良くないし…むしろちょっと怖いと思ってるくらいだし…。
「ぴーぴー喚くな」
「えっ、いやいやいや!普通の反応ですから!」
「寒いつったのはお前だろうが」
「あ、まあそれは言いましたけど…でも何でそれがこの結論になるんですか!」
この際怖いとかなんとか言ってらんない。バーダックさんの腕の中で必死にもがく。けどびくともしない。一ミリも動かない。…わかってました、サイヤ人に対抗するなんてムダだと。でも早く離れないとどうにかなっちゃいそう!わたしの心臓が!
「でもあったけぇだろ。こうしてっと」
「まぁ…そうです、けど」
「けど?」
「こっちのほうが恥ずかしいし、寒いの我慢するので離してほしいです……」
もうほんと勘弁してほしい。だって男の人に抱き締められたこととかないしバーダックさん顔だけはかっこいいし、いい体してるし意識しないわけないもん。顔に熱が集まっちゃう。
「…離さない」
「はっ」
「もう少しこのままだって言ったんだよ。まだ寒いだろうが」
え…雪が降ってても鎧一枚で筋トレしてるのに…?とか、いや関係ないし離せって思ったけど少し上にあるバーダックさんの顔が赤く染まっていたから何も言えなかった。
「おい、何か言えよ。俺ひとりで喋ってるみてぇだろうが」
「えっ!いや、その、えと…」
眉間に皺をよせるバーダックさんを普段だったら怖いと思ってたけど、どちらかというと今は拗ねてるように見えてちょっぴり可愛いく見えた。でもバーダックさんが喋るとは思わなくてどもってしまうわたし…だめすぎる。
「美月…」
「わ、わたしももう少しこのままで…」
ちょいちょい!何言ってんだわたし!さっきまで離せって言ってたからバーダックさん驚いてるし…!自分でもなんでそう言ったのかわからない。
「…あったけぇな、お前は」
バーダックさんはどういうつもりで抱き締めて離さないって言ったのかわからない。それに今もずっとぎゅっとしたまんま。ほんとに寒かったのかもしれないし、別の理由かもしれない。よくわからない。けどもう少し、あと少しだけこの温もりに包まれていたい。
乙女座のユニコーン