それは、在りし記憶の欠片
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  • 儚い魂の欠片

    ねぇ、覚えてる?

    あの日は穏やかな朝だったわ、いつもの様に屋敷から数分先にある庭園に私は散歩に出掛けたの。

    人気が無くて目映いばかりに輝く木漏れ日が溢れる私の秘密の場所だったんだけれど、その日は先客が居たのよね。寝ているのか起きてるのか…瞳を閉じている全身黒に身を包んだ男の人が背景から一際浮いて見えたわ。

    『あら、美人さん発見!隣、良いかしら?』

    あの時の私ったら思わず声を掛けてしまったわ…だって、身に纏う黒が木漏れ日の光できらきらと輝き、何だかとても綺麗だったから。

    『…好きにすればいい』

    貴方は特に表情を変えないまま目を開いて私を見ると愛想がない割にすんなりと答えを返してくれた。それが凄く変で、可笑しくて…不思議だけど嬉しいと思ったの。

    『ふふっ…隣、失礼します』

    いつもと同じ見慣れた場所なのに、その日はいつもより心地良くて幸せな時間を過ごせたと思う。その日から…あの場所は二人の秘密の場所になったのよね。実は貴方とあまりに森ばかりで遭遇するものだから妖精なのかとまで思ったんだから…

    これを"運命"と言うのかしらね?もし、貴方もそう思ってくれていたら嬉しいのだけれど…ねぇ、あの日の事…貴方はまだ覚えてくれているのかしら?


    あぁ、私の愛しい人…不器用で寂しくて優しくて可愛い人。私は貴方と生きたい…勿論よ、悩む必要は無いの、答えは一つしかないわ。

    "YES"