生まれ変わっても
嫌な予感がしていた。
たまに訪れる特別な、穏やかな日......
なのに、いつもと違う空気。
いつも通りの筈なのに。
「悟......」
「んー? どうかした? あ、今日のご飯美味しくなかった? キミの好きなメニューにしたんだけど」
「ううん、ご飯は美味しかったよ。ありがとう......でも、そうじゃなくて......」
悟は、いつも勝手にやってきてはふらっといなくなる。
普段何をしてるのかもわからない、どこにいるのかも知らない。
でも私を見る目だけはいつも誠実で。
その青い瞳の暖かさをを感じれば、何も不安に思うことはなかった。
でも、東京の方での大事件の後しばらくたってから訪れた悟に私はなぜか素直に喜べなかった。
何もかも同じ、今までと同じはずなのに何か違う。
連絡なく訪れるのも、短い時間しかとどまらずすぐいなくなってしまうのもいつもの事。
だから、明日起きたら多分悟がいなくなっているのも分かってる。
それでも今まではこんなに不安になる事なんてなかった。
「ねぇ、次......いつ会えるかな?」
「......大丈夫だよ、実は僕最強なんだ」
「最強?」
私の問いかけとは違った返答、だけどそれは悟なりの答えだったんだと思う。
その時の悟の顔はいつも違って、ちょっと生意気そうな顔だった。
それから......悟が私のもとを訪れることは2度となかった。
たった一つ、トーク画面に画像を残して。

─────
「ねー硝子、一個頼んどいたいことがあるんだけど」
「なんだ、これからって時に」
「こんな時だからなんだけど、宿儺との戦いが終わったらこのトーク画面にこの画像を送ってほしい」
「......これは自分で送りなよ」
「だーかーら念のためだっての、頼んだよ」
「はぁほんとさ、わかったよ」
「......また会おうね」
─────
十数年後
月明かりだけが広がる部屋に1人座り込む初老の女性。
その手にあるスマートフォンには今から数十年前最強と最強が相まみえた時の映像が流れていた。
「......花言葉、何度でも調べた時を思い出す。嬉しいはずなのになぜか喜べなくて。
33本のバラの花言葉、「生まれ変わってもあなたを愛します」だって......
ねぇさとる、私はいま、あなたにあいたいよ」
2026 09.27