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微睡の中の愛
「そこにこれを代入して...」
「...あぁ!そしたらここが導き出せるわけね!」
「そうそう。よくわかってるじゃん」
「えへへ〜」
「照〜。最近こっち鍛えるのにハマってんだけどさ」
「お、コアなところじゃん」
「やっぱ?調べてるけどイマイチわかんねーんだよな」
「あー、それはコレ使って...」
「だてぇ〜!!見てこれ!今日のブログに出そう思ってんねんけどさぁ」
「いいね。旬の野菜じゃん、美味しそう」
「やろ?ダテから貰ったレシピ見て作ってん」
「じゃあ最新のオススメレシピまた送っとくね」
「...あは、名前?」
「、んっ」
「眠いの?」
「...あはは、目とろーんってなってる」
台本を読む俺、アニメを見る佐久間くん。割と静かだった2人に挟まれた名前ちゃんは、机に肘をついてうつらうつらと船を漕いでいた。
最近の名前ちゃんといえば、プロデュースしたリップが好評で新しい案件が来たり、モデルと女優の仕事もコンスタントにこなしながらグループの仕事にも手を抜かない、プロっぷり。
「ちょっと寝たら?撮影始まるまで時間あるし」
「あー、」
労わってそう言ったんだけど、まだふわふわしてる名前ちゃんをちらっと見た佐久間くんは、周りを見渡して苦笑い。
たしかに今日は色んなメンバーが色んな話をしてるし、気になって満足に休まらないかな?
「名前?このまま寝れそうなら寝ていいよ?」
「ん、...」
「...あのー、めめ。台本読んでるところ申し訳ないんだけど、」
「うん、」
「ふっか、探してきてくんね?」
え?ふっかさん?
頭にはてなマークは浮かんだけれど、頷いて俺は楽屋を出た。
***
ふっかさんは、ちょっと離れた廊下にいた。
以前共演してから何かと気にかけてくださっている人気芸人さんと談笑している姿を見て、割って入るのもなぁ、なんて躊躇してたら。
「あっ、目黒くん!」
幸か不幸か、芸人さん側が気づいてくださって。
「お久しぶりです」
「久しぶり〜!って言っても俺はテレビでSnowManいっつも見てるから久々に感じないけど!」
「あはは!」
「ありがとうございます」
気さくで、何より優しいその芸人さんは、俺が来たことで話を中断してくれた。
更に、「話過ぎちゃったね。また共演の機会に」って、空気を読んでくださったんだろうなぁ。
「っは〜、笑った。あ、撮影呼ばれた?」
「ううん、撮影じゃなくて、佐久間くんが。」
「佐久間ぁ?」
「俺もよく分かんないんだけど、」
楽屋に戻りながら、そんな話をする。
ふと思い出して、
「あ。名前ちゃんが寝かけてた」
って言ったら、
「あ〜、そういうこと」
って、笑ったのがなんかかっこよかったっけ。
***
楽屋に着いたら、出た時と変わらない騒がしさ。
そんな中でも、机に突っ伏した名前ちゃんと背中をポンポン叩いて寝かしつけてる佐久間くん。
隣にいたふっかさんは、まっすぐ名前ちゃんの方に向かった。
「寝てんの?」
「んにゃ、うとうとって感じ」
「そ。」
短い会話をした後、ふっかさんは伏せてる名前ちゃんの脇下に手を差し込んで、グッと持ち上げて...
「...えっ!?」
持ち上げた。抱っこ、って言うんだと思う。
語彙力が欠けてしまうほどに、衝撃的。
ラウールも康二も、目をまん丸にしてそっちを見てた。
ふっかさんは名前ちゃんを抱き上げて、慣れた様に名前ちゃんが座ってたパイプ椅子に腰掛けた。それから、名前ちゃんを膝に落ち着けて、力の抜けた腕を自分の首に回して。
「...寝れそ?」
「(フルフル)」
「なぁんでよ。さっきまで寝てたんじゃねーの?」
「おやすみぃ、名前」
棒立ちしてる俺の目の前には、甘い空間。
それから、俺を追い抜かして名前ちゃんに歩み寄るのは、
「はい、これふっかのジャケットだよね?」
「そ!あべちゃんありがと〜」
「なに、そんな仕事詰まってたっけ?」
「ああ、今週はプロモーションがあるから休みないって言ってたっけ」
「ここ数日の話だもんね?名前ひとりで溜め込んでたんじゃないもんねー?」
「...たはは!"うんうん"って。わぁかったから寝なさいってば」
ぽけーっと見てた俺の隣に、舘さんが並んだ。
「名前ってね、1人じゃ眠れないの」
「え?」
「怖い夢見るからって。可愛い理由だけど、名前ってこういうポジションに立ってから色々悩む事も多いからさ」
知らなかった事実。
名前ちゃんと言えば、元末っ子とは言えど並外れたセンスを持ってSnowManを引っ張っている仕事人で、抜けたところもあるけどやる時はやる子で。
「そういえば、名前ちゃんが寝てるところ見たことないかも...」
「...うん、」
「ああやって安心しないと寝れないんだって。しかも、ふっか限定」
「なんでふっかさん?」
「さぁ?でも、ずーっと一緒にいるからね、あの2人は」
「ね、コイツめっちゃ俺の匂い嗅いでんだけど」
「ふっかすきすきタイムなんだからしょうがない!!」
「これ腰いてぇし重いしあちぃんだよな〜」
「とか言ってさ、ニヤニヤしてるくせに」
「ほんとな」
「まぁね〜」
得意げに笑うふっかさんと、安心した様に囲む先輩たちを見て、ああ追いつきたい、そう思った。
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