晴れた日はあいつを思い出すから外に出ようと思った。頼んでた品物を取りに行かなきゃならなかったから丁度いい。部下二人を連れて街を歩き、少し落ち着いた住宅街へ足を運ばせた。
すれ違う人にあいつを重ねては現実を見て。似た横顔、似た後姿、オレが覚えてるあいつの全てを目で追っては、また目を伏せて。いつまで経ってもその繰り返しで。
諦めが悪いとはわかってんだけど、1パーセントでも生きてる可能性があるから諦めきれない。そんな感じで歩いてるとオレたちが目指してた店が見えてきた。
見た目わりと普通なんだけど実はマフィア専用なんだぜ?立て札はいっつも「閉店」だけどな。
店に行くまでにロマーリオになんでわざわざ歩いて行くのか聞かれて返事に困った。ロマーリオはあいつが死んだと思ってるから。でも、オレはそんなことないんだってことをこいつらにも伝えたくて正直に話した。そんなことだろーと思った、と笑われたがオレは至って本気なんだけどな。
「でもよ、ボス。もしあの子が生きてたとしても会えるわけじゃねーんじゃねーか?」
「まぁ、そうかもしれねーけど…生きてたら会えるさ」
「会って、どーするんだ?」
オレは初めてそこで気がついた。そうだよオレ、会ってどうするんだ?会って何がしたいんだ?
「会ったら…その、また記憶消すのか?」
「いや、それはもうしない。あの機械は今後一切使わないことにする」
「…、ボスがそう言うならオレらは従うまでだけどよ。あれ結構高かったんだぜ?」
「ハハ!いいんだ。もう、あんなふうに誰かが悲しむ顔は見たくねーんだ」
オレは今までファミリーのことしか考えてなかったけど、あいつからは逆の立場からの目線を教えてもらった。どちらが正しいのかは正直まだわからねぇ。
だってオレはファミリーが大事だから。あいつはオレらとの思い出が大事だから。
「ディーノ君、ほれ、頼まれてた物じゃよ」
「ん?ああ!すまねぇじーさん!」
「何か難しいことで悩んでるようじゃが、君が大切に想ってる物は案外近くにあるもんじゃよ?」
「?、どーゆー意味だ?」
「さぁの。それは自分で見つけださなければ意味がない」
「なんだよ。教えてくれてもいいじゃねーか」
頭にハテナを浮かべて考えてると窓の外から物音が聞こえてきて、ふいにそっちへ目をやるとそこには会いたかった影がいた。
確かに其処に君はいた
「名前…?」
「え?名前嬢?」
服は違えど走り去るあの後ろ姿が、あの日とダブって見えた。
オレが泣いた日。名前が崖から落ちた日。オレがあいつに銃を向けさせた日。名前が、消えた日。
オレはまさかと思って急いで店を出た。
「名前!」
強く叫んでも、君は止まってくれない。今から走っても、もう追いつかない。
「名前…」
なぁ…本当に名前なのか?なら何故逃げるんだ?何で止まってくれないんだ?生きてたら会おうって言ったじゃねーか。
「じーさん…あいつは、オレの探し物なのか?」
走り去った誰かの後姿を、名前だったらと思い聞いたけど、じーさんはただ窓の外を見るばかりで答えてはくれなかった。
(その沈黙を肯定ととっていいのだろうか)
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