あたしがキャバッローネに来て今日でもう1週間がたつ。来た当時はあんなにも疑われていたけど今じゃなんかちゃっかり馴染んじゃってて、あの時あたしを撃った人ともすっかり仲良しサンです。傷ももうすぐ塞がるし!

ロマーリオにも慣れてきて、だんだん皆があたしのことをちゃんと名前で呼んでくれるようになった。それが嬉しくて嬉しくてつい忘れてしまいそうになる一つの心配事。

「ねぇ、あたしってこれからどうしたらいいの?」
「名前嬢、それはどーゆー意味だ?」
「だって、いつまでもここにはいられないでしょ?」
「え?名前ちゃんいなくなんのか?」
「ウソだろー?折角打ち解けてきたのにかー?」

口々に言い合うみんなに正直焦った。

「べ、別にここが嫌になったとかそんなんじゃなくて!ただ、会わなきゃならない人達がいるの」
「?、誰なんだ?ソレ…」
「それは…ちょっと言えない」
「場所知ってんのか?」
「日本だよ」

そうだよ。あたしはここでダラダラ過ごしてる場合じゃない。ツナたちに会わなきゃいけないんだから!そのためにはまずは日本に行かなくちゃ!

「だからお願い。あたしを日本へ連れてって!」
「って言ってますが、どーします?ボス」

あたしはディーノに視線をやった。ディーノは少し考えてからあたしの目を見た。とても真剣な目。これからなんて言うんだろ?

すべてはボスの決断で

「今すぐじゃなきゃ駄目か?」
「え?あ…いや、別に、そんなことないけど…」
「そうか…」

え?何何?行かせてくれんの?どっちなの?

「今からお前に言う事は少々酷なことかもしれないが、聞いてくれるか?」

なんてあまりにも真剣に言うもんだから勢いで頷いちゃったじゃないの!

「お前を日本に行かせてやってもいいんだが、その前にしなきゃいけないことがある」
「しなきゃいけないこと?」
「…記憶を、消させてもらう」
「え?」
「ボス!いくらなんでもそれは!」
「ロマーリオは黙ってろ。例えここにいたのが1週間くらいだったとしても、お前がここにいたことには変わりはない」
「………」
「例えどのファミリーに入っていなかったとしても、キャバッローネと関わったことで殺す対象、あるいは殺される対象になってしまう。それだけはお互い避けたいだろ?」

ディーノの言いたいことはよくわかる。マフィアと関わって、あたしにとってもディーノ達にとっても不利になったりするんだ。

関わった時間は短いけれど、その中であたしは多くのことを知ったし教えてもらった。それらの情報はすべて、消さなければ両方危ないんだ。

わかってる。ディーノがあたしを信じてないんじゃなくて、これはあたしのことを思って言ってくれてるってこと。わかってるんだけど、やっぱりどこか寂しい。

「記憶を消すって、キャバッローネにいた時の記憶だけ消えるってこと?」
「ああ。それ以外のことは消えないようにする」
「そっか…うん、わかったよ」

泣くな、泣くな、泣くな。永遠の別れじゃないんだから。またきっと会えるんだから。

「また…会える、よね?」
「ああ、きっと」

そう言ってディーノは小さく微笑んだ。

「ディーノがそう言うなら、信じてみようかな…」

悲しいけど、お互いのためだから。なにより、一番最初に疑わないでいてくれたディーノを困らせたくないし。しばしのお別れだと思えばいいんだよね?

悲しむな、恐れるな。あたしのエゴにディーノが付き合ってくれてるんだ。

「いつ、するの?」
「お前の決心がついてからでいい」
「ん、わかった」
「名前嬢、ホントにいいのか?」

返事は出来なかった。ただ無言を肯定ととったのか、それ以上は誰も何も言わなかった。

本当にいいのかな?ディーノは本当にこれが最良だって思ったのかな?

(たった1週間だったけど忘れたくない思い出ばかりだよ)

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