今日は親方様と一緒にイタリア郊外まで任務で出かけてきた。そして今やっとボンゴレのアジトまで戻ってきて、9代目に報告をしにいく途中だ。

「どーしたバジル、疲れたか?元気ねーぞー?」
「ハハ、少し疲れましたね」
「おいおい、しっかりしてくれよー?これからまだ家に帰らなきゃなんねーんだからよー?」
「そ、それぐらい大丈夫ですよ!ホントに少し疲れただけですから!」
「わーったわーった。おっと、お前はここで待っててくれるか?」
「わかりました」

そう言うと親方様はすぐ戻る、と言って9代目がいるであろう扉の向こうへ消えていった。拙者は親方様に仕えてはいるが、ボンゴレではない。だけどボンゴレの味方だ。正式なボンゴレファミリーではないから、出来る限り9代目との接触は避けている。

ふと窓の外を見るとさっきまであんなに晴れていたのにもう空が曇ってきている。さすが、山の上に建ってるだけはある。こりゃ自分が帰る頃には土砂降りかもしれないな、と溜息をこぼした時、背にしてた扉が開いた。

「もう終わったんですか?」
「ん?あぁ」
「じゃ、用はもう済みましたよね?」
「そうだが…なんだバジル、急用ができたのか?」
「いえ…ただ、もうすぐで雨が降りそうなので…その前には家に帰れたらいいなと思いまして」
「おー!こりゃヤバイな!キツイのがきそうだ!」

帰るか、と笑った親方様にはい、と返事をしてから長い廊下を二人で歩いた。玄関につくまでにもう雨は降ってきてしまった。

「せっかくだし傘借りてくかー」
「拙者、借りてきますね!」
「あー、すまねーなぁ!」

急いで近くにいた使用人に傘を2本借して欲しいと言うと、手渡されたのは黒い傘と水玉の傘。え?何で?もしかして拙者のこと女だと思ったんじゃ…。

少し落ち込みながら親方様のとこまで戻ると、拙者の顔と持ってる傘でわかったのか豪快に笑い出した。笑うなんて酷いですよ!目に涙を溜めながら親方様は(もちろん)黒い傘を取り、玄関の大きな扉を開けたその瞬間。

─ドサ

っと上から人が落ちてきた。

それは天使と呼ぶにはほど遠く

「お、親方様!大丈夫ですか!?」
「いや、オレは大丈夫だ。それよりこの子、どこから…?」

見るとそこには肩や足から血を流し、入院患者のような服を着た女の子がいた。

「親方様、知り合いですか?」
「んなわけねーだろ。とりあえずここじゃまずい。連れて帰るぞ」
「はい!…って、え!?連れて帰るんですか?」
「そうだ。バジル、背負ってやれ」

ずぶ濡れになって意識がない彼女を拙者は背負って帰った。なんでまた、連れて帰るだなんて…。拙者の心を読んだかのように親方様は口を開いた。

「その子はボンゴレファミリーじゃない上、ご丁寧に拳銃に撃たれて血まで流してる。あのままボンゴレに入れると混乱をまねかねないからな」
「あ、それで…」
「ま、その子が目を覚ましたら何があったかじっくり聞かせてもらうがな」

そりゃそうだろう。なにせ空から落ちてきたんだから。落ちてきた時は羽のない天使に見えたが、今はそんなこと微塵も感じない。

どうして空から、と気になったけど、そんなことよりも気になることがある。きっと親方様には聞こえていないであろう、この少女の微かな寝言。この子を背負ってた拙者だから聞き取れた言葉。

(悲しそうにごめんね、という彼女の声)

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