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夢の中での話だが
氷室君との交際は順調だった

二人だけになった時にそっと唇を重ねたり

帰り道は人がいなければ手を繋いで帰った

甘酸っぱくて、まさに青春そのものだ

そして高校生らしく
また、都合の良い夢らしく

このような急展開にもなる


「優しくしたいけど、抑えがきかなかったらゴメン」


そう私を見下ろしながら言った彼も、私も

お互い裸だった


(今いれる所なのか…)


見に覚えはないが体には熱が宿り
下半身に物足りなさを感じる

高校生ならばこのような行為に興味津々でもおかしくないし
恋人同士ならこれも必然か


「あの、ごめんね…私初めてじゃなくて…」


いや、夢の中の私はもしかしたら処女なのかもしれない
けれどもしそうだとしても精神は非処女なのだから完全な嘘にはならない

だが念には念を、氷室辰也という男は意外に嫉妬深く、先に伝えた方が事は円滑に進むのだ


「…そっか、それは少し残念だな
じゃあ何か変だったら言ってね」

「ん?」


私が疑問の声をあげた時
何時もと変わらぬキスを落とされ

耳元でそっと


「なまえ、俺の童貞貰ってね」


そう囁かれ

今日の夢はそこまでだった