ありがとうございました!
ささやかながら以下SSです。
※3周年感謝・ヒロインたちのバースデー
(pkmnパピヨン→pkmnヴィラン→gnsn)
1. パピヨンヒロイン(PKMN)
「今日は何の日か覚えているか」
「え?何かありましたっけ」
「当ててみてくれ」
相変わらず唐突だな、この人…
いきなりクイズに頭を働かせる。
えーっと…10月3日…図鑑番号103と言えば…
「シザリガーの日」
「違うぜ」
即答だよ。ん〜語呂合わせ的な感じなの?全然わからん。
こちらは外れているというのに、ダンデさんはなぜか楽しそうだ。
「やっぱり忘れていたんだな。自分の誕生日を」
「あー……そうでしたね」
なんだそんなことか。帰宅中のタクシーに揺られながら遠くを見る。
赤い夕陽が綺麗だ。ガラルは美しい、あの人もそう言ってたっけ。
「興味ないか?」
実際のところ、あたしの”本当の”誕生日は今日じゃない。
この世界でIDを作るのに必要だったから便宜的に決めただけ。
別にそのことに不満だとかは全くない。そもそもあたしは、
「ええ。あまり」
他人はともかく、自分の誕生日なんて特別に感じたことはない。
寧ろ大人になるにつれて、鬱陶しささえあった気がする。
「否定するつもりはないんですけど。生まれたことを祝う感覚が、あたしはよくわからないです」
話題を振ってきた相手だけに気まずくて、思いっきり窓へ顔を向けた。
だってさ、いくらなんでも失礼じゃん?誕生日だぞ〜って教えてくれた相手に対して。
でも事実は事実。あたしはよくわからない。だから言う。…我ながら捻くれてるわ。
「そうか、それは残念だ。でもオレは、キミの誕生日を祝福したいと思っているぜ」
ん?変だ。なんかダンデさんの声、楽しそう。
今の話って基本テンション下がるところじゃない?
「もしかしてサプライズしようとしてます?」
「よく気づいたな」
「だってこれナックルに向かってるし」
あとわかりやすいです、ダンデさん。
振り返るとそこには満面の笑み。
悪戯が成功したおこちゃまの顔してる。成功してませんけど?
「キミの性格だと断られると思ってな」
「…よくご存じで」
行先は決定済み。ガラルのタクシーは途中下車ができない。
逃げられない状況になってからネタ晴らしとは…いや逃げないけどさ。
「わかりました。ありがたく祝ってもらいます」
「着いたぜ」
「これはまた豪勢な…」
「特別な場所を選んだんだ」
ナックルジムに降り立ったタクシーから彼女をエスコートする。
さすがにジムが会場だとは思っていなかったようで、少し目を丸くしている様子にダンデは満足だ。
「主役から入ってくれ」
本人が想像しているよりも遥かに、ダンデは、周りは、この少女を理解している。
どうせ普通に誘っても…と言い出したのは誰が最初だったか。
予定通りに事が運んだことに安堵はするものの、
「(無理に喜んでほしいわけじゃない。ただ、出会いに感謝したかったんだ)」
投げやりに誕生日の意義を投げ捨てた横顔。
複雑な環境下で今に至る彼女に、考えを改めてほしいなんて微塵も望んじゃいない。
当人を差し置いた自分たちの我儘だということも理解している。
せめて望んでいいのなら、その我儘を許してほしいと。
「ダンデさん。あたし、言ったでしょ。誕生日なんか興味ない、祝う感覚がよくわからないって」
「……ああ」
ドアノブに手をかけたまま、こちらを見ない背中。
所詮、エゴの押し付けでしかなかったか。
ダンデの胸中にも影が落ちる。
「でもね、今ならわかる気がする」
「え?」
「生まれてきてくれてありがとう、出会ってくれてありがとう、っていう感じ」
その横顔は、少しだけはにかんでいて。
「今なら―――今のあたしなら、わかる気がする」
直近で大きな、とてつもなく大きな変化が、あった。
自分にも。彼女にも。みんなにも。ガラルにも。
「…そうか!」
新たな喜びをもたらす、信じられない程の変化が。
「「「ハッピーバースデー!!!」」」
2. ヴィランヒロイン(PKMN)
「誕生日おめでとさん」
「ありがとう!」
チン、と高そうなグラスがぶつかって音がする。
やっぱり高そうなワインに口をつけると、シュワシュワとした感覚が広がった。
「キバナくん、私の誕生日知ってたんだね」
「前に言ってただろ?ちゃーんと覚えてるって」
そ、そうだったかなあ…?
私は全然覚えていないけれど、キバナくんは記憶力がとってもいい。
ふとした会話の中で言ったことをよく覚えていて、いつも私は驚いている。
「本当はさ、バースデーってレストランなんかに行くんだけど」
「うん」
「オマエ、まだああいうの苦手だろ?」
「う、うん」
お付き合いするようになってから、イベントがあると高級レストランに行くことが何度かあった。
ガラルでは特別な日に特別な場所で…というのが当たり前なんだって。
でも、カントー生まれの私は相変わらずドギマギして、おいしい食事もあまり喉を通らなかった。
だって、みんなドレスやタキシードで、私もドレスでキバナくんもタキシードで…うう、恥ずかしい!
「だから今回は家でパーティーすることにしたんだけど」
「嬉しい!ありがとう、キバナくん。みんなもありがとう!」
リビングの飾りはジュラルドンたちも手伝ってくれたそうで、みんなパーティー帽子を被っている。
いつの間にかクロバットまで!?さっき一緒に帰ってきたばかりなのに!?
「今まで、先輩たちにお祝いしてもらっていたから…新鮮で嬉しい!」
「そっかそっか。そんなに喜んでもらえると頑張った甲斐があるよ。なあ?」
わいわい、がやがや。
先輩たちのパーティーも賑やかだったけれど、キバナくんのパーティーも賑やか。
でもちょっと違う気がする。何が違うんだろう?
「うーん…」
「どうした?」
「先輩たちのパーティーも、キバナくんのパーティーも、どっちも楽しいけど、何か違うなぁって」
「へえ〜」
キバナくんはちょっとわるい顔をした。
…よ、夜に見る…!
「なーに赤くなってんの」
「だ、だってキバナくんが」
「オレさまが?何?」
雰囲気の変わったキバナくんが、テーブルの上にあった私の手を取る。
きゅ、急に色っぽくなるなんて反則です!ああっ、みんな他の部屋に行かないでー!
「さっき言ってた”違う”ってのは、こういうことだろ?」
「へ?」
「恋人同士のお祝いってこと」
「こ、こいびとどうし…」
キバナくんは、ガラルのトップジムリーダーで、かっこよくて、私なんかじゃ全然釣り合わない人。
そんな人とお付き合いだなんて今でも信じられなくて、だからこれって夢なのかな?なんて考えることもあって。
「ガラルに来てくれて―――オレと一緒にいてくれて、ありがとう」
でも。いつだって、必ず。
そんなことないよって。
“Happy birthday to my whole heart.”
3. 黒猫ヒロイン(GNSN)
「ハッピバースデー♪ハッピバースデー♪」
「楽しかったか?」
「うん!」
今日はわたしの誕生日!ガイア先輩が決めた、わたしの誕生日!
さっきまでエンジェルズシェアでお祝いしてた、わたしの誕生日!
「ごはんもケーキもおいしかった!」
「ああ、バーとは思えないほど豪勢だったな」
「みんなもいて楽しかった!」
「ハハ、そいつはよかった」
―――あ。
「……。ガイア、先輩?」
「ん?」
お家までの帰り道。今はわたしとガイア先輩だけ。
みんなにはナイショだけど、わたしとガイア先輩はいっしょに暮らしてる。
だから、今はわたしとガイア先輩だけ。
「どうした?」
立派なレディになるために、騎士団の寮を出た。
ガイア先輩と同じお家にいるのはとっても幸せ。
それなのにガイア先輩は、
「(目がくらくらしてる)」
たまに、瞳がおかしくなる。
それも、絶対にわたしと二人の時だけ。
いつもは絶対に見ないよ。お仕事の時も見ないよ。
それなのに、たまに、瞳がくらくらしてる。
「……」
怒ってないよ。でも楽しいじゃない。
楽しいガイア先輩はこんなんじゃないもん。もっともっと嬉しそうだもん。
『あれ、君どうしたの?』
この間、アンバーとパトロールしてた時に見つけた男の子。
迷子になったって言ってた。全然、泣いてなかった。
『すぐに来るから、別にいいってば』
『ええ〜?でも心配だし、私たちも探すよ!』
でも。あの子を見た時、思ったの。
あ。ガイア先輩だ、って。ガイア先輩と同じ、くらくらだって。
『まったくもう!すみません、お騒がせして』
『いいんですよ!お母さん来てよかったね』
『へへ…おねえちゃんたち、ありがとう!』
あの子は、おかあさんが来たら笑ってた。
わたしとアンバーも、よかったねって言ったら、笑ってた。
「ガイア先輩」
ガイア先輩も、迷子?
ならわたし、ガイア先輩が笑うことば、知ってるよ。
「ガイア先輩”は”、ずうっといっしょにいてね」
「…フフ、なんだ急に」
「だってほんとだもん。ずうっといっしょに誕生日したいもん」
「誕生日だけか?」
「ぜんぶ!」
ほら、笑った!
「ああ。お前を手放したりなんかしないさ」
迷子じゃないよ。
わたし、モンドも好きだけど、ガイア先輩が一番好きだよ。
だから、迷子じゃないよ。ずうっといっしょにいるよ。
「それじゃ、改めて―――誕生日おめでとう。これからも共にあることを」
大丈夫だよ、アルベリヒ。
今度こそ、私、約束を守れる気がするの。
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