ボクはヌメた。
誇り高きドラゴンポケモンだ。
今日はとんでもないやつが現れた。
「このヌメラが君の相棒なのか?」
こいつはダンデ。チャンピオンってやつらしい。
いかにもって感じにオーラが溢れてる。
なんだよ、マントなんか羽織っちゃってさ!
でも問題はそこじゃない。
「よう、チビすけ。俺はリザードンだ」
こいつだ。ダンデの相棒とやらの、リザードン。
こいつ最強とかなんとか言われてるらしい。
なんだよ、お高く留まっちゃってさ!
ボクは誇り高きドラゴンなんだぞ!
「チビすけじゃないやい!ボクはヌメた!」
「へぇ。ニックネームつけてもらってんのか」
悪いやつじゃないっていうのはわかる。
でもさ。このどことなく上からな目線!
俺の方が強いぜってオーラがプンプン漂ってる。
ふん、なんだよなんだよ!ボクはみずでっぽう使えるんだぞ!
「リザードンは近くで見ると迫力あるねえ、ヌメた」
「かわいい嬢ちゃんじゃねぇか。チビすけのマスターか?」
「ヌメた!あとナナシ!彼女はナナシ!」
「わぁったわぁった」
こいつの隣にいるナナシは、いつもより小さく見える。
並んでいると、まるでお姫様と竜の騎士みたいだ。
…なんだよなんだよ!ドラゴンはボクだぞ!
「ま、お前も早く大きくなるこったな」
「なんだよ!ダンデの相棒だからって、ボクを馬鹿にしてるな!?」
「別にンなことしてねぇし。嬢ちゃんは気に入ったけどよ、っと」
「ぅわっ!?」
「あ、なにすんだよ!」
こいつ!急にナナシのこと抱っこしやがった!
ナナシはビックリしてたけど、すぐ嬉しそうにお姫様抱っこだ〜!なんてキャッキャしてる。
なんだよなんだよ!君はボクのマスターなんだぞ!
「すごーい、たかーい」
…ナナシはやっぱり、大きいポケモンの方がいいのかな。
悔しいけど、相手を威圧するって意味だと、大きければ大きいほどいいのは事実だ。
ボクはナナシよりもずっと小さい。背中に隠すことだってできないし…
「よし、これなら夢のアレをできる。ヌメた、おいでー?」
「え!?」
「高い高いしてあげる!」
あたしが普通にやっても高くないからさ。
そうやって楽しそうに笑うナナシ。
なんだよなんだよ。そんなの反則じゃないか。
「ヌメたくん、高い高〜い」
「たかいたかーい♪」
「リザードンもかっこいいけど、やっぱり抱っこできるヌメたが一番!いつまでもそのままでいてね」
「うん!ボクずーっとヌメラでいるよ!」
進化したら、リザードンみたいになれるかもしれない。
でもナナシに抱っこしてもらえないのは嫌だ。
彼女の腕の中で泣けなくなるのも嫌だ。
だからボクはヌメラのまま強くなる!
誰よりも強い竜の騎士になるんだ!!
「腕の中でイチャイチャすんなや」
ふん、悔しいんだろ?顔に出てるよ。
さっきのお返しさ。
抱っこしてもらえる幸せ、おすそ分けしてあげるよ。