オオカミさんと赤パーカーさん 3


しばらくして、オオカミさんとキバナさんがアジトにやって来ました。
計画と違うことに先輩たちはビックリです。

「ナナシ、アンタどうしたのよ!ターゲットここまで連れて来ちゃって」
「ムサシ先輩、あの、キバナくんは…」
「ハンターのニオイがプンプンするニャ!」
「(うわ〜〜〜あの男だ〜〜〜)」

あらぬ光景を思い出したコジロウさんは気まずいやら戸惑うやら。
ちなみに隣でモジモジしているオオカミさんには大いに興奮したそうです。

「はじめましてセンパイ方。突然ですがナナシをオレにください」
「ハアッ!?」
「「!?」」
「え?え??キ、キバナくん???」

突然の嫁宣言に困惑する一同。
キバナさんは涼しい顔で話を続けます。

「オレさ、お前に惚れてんだよね」
「ほれて…?」
「好きだから夫婦になりたいってこと」
「ふうふ…?」
「えーっと…番になりたいってこと」
「つ、つがい!?」

よくわからない単語を並べられたオオカミさんは小首を傾げてばかり。
しかし最後の言葉だけはよく知っています。なんせメスのムッツリオオカミですから。

「そ。オレさまナナシに子ども産んで欲しいな〜♡…ダメ?」
「だ、ダメじゃない、けど…」
「ナナシもオレさまの子ども産みたい?♡」
「あ…うう…ぅ、うん…♡」

先程ごっくんしたアレの味を思い出して、メスモードに入るオオカミさん。
期待以上のエロ嫁感にウキウキのキバナさんもイチャつき始めました。
が。

「ちょ〜〜〜っと!!アンタなに誘導してんのよ!!」
「(よくやったムサシ!)そうだそうだ!」
「オスの風上にも置けない奴ニャ!」
「せ、先輩…」

一斉のブーイング。
先輩たちにはどう見てもキバナさんが言い包めているようにしか見えません。

「オレ、これでも真剣なんです。認めてくれません?」
「知ったこっちゃないわよ!ナナシ!」
「は、はい!」
「アンタはどうなの?人間のオスと番になってもいいの?アンタの気持ちはどうなのよ」
「わ、私は…。私……」
「(断れ断れー!)」
「(ナナシを嫁にだニャんて、とんでもニャーやつだニャ!)」

同じメスとして気持ちを重視するムサシ先輩。
嫁にあげたくないコジロウ先輩とニャース先輩。
みんなの視線に戸惑いながら、オオカミさんは考えます。

「キバナくんと番になりたい、です…!」
「マジで!?(逆プロポーズじゃん最高かよ!)」

正直、自分の押せ押せで嫁になってくれると思っていたキバナさんは大歓喜。
恥ずかしそうにしているオオカミさんと今すぐイチャラブしたい気分。

「…そう。なら好きにしなさい」
「ムサシ何言ってんだよ!!」
「止めないでどうするニャ!」
「ゴチャゴチャうるさいわね!一番大事なのはこの子の気持ちでしょ!」
「ムサシ先輩…!」

おまけにムサシセンパイのお墨付きまでもらったのです、怖いものはありません。
再び心の中でガッツポーズ。

「ま、この男も人間にしてはマシな方みたいだし?いいんじゃないの」
「(パイズリさせる奴がマシなわけないだろ!?って言いたい!)」
「でもねアンタ!ナナシのこと泣かせたら承知しないわよ!」
「もちろんです(別の意味で泣かせまくるけど)」

「ナナシが嫁に行くにゃんて…ニャーは寂しいニャ」
「ニャース先輩…」

いつも後ろを着いて来た、かわいい後輩の嫁入りに涙ぐむニャースさん。
オオカミさんも急激に寂しくなりました。
キバナさんと番になるのはいいけれど、先輩たちと離れるのは辛いものです。

「…あ!先輩たちも街に来たらどうですか?」
「あら、それいいアイディアじゃない!」
「変装すればニャーたちが動物だってことバレにゃいニャ!」

なんという素敵なアイディアでしょう。
瞳を輝かせるオオカミさんとキャッキャする先輩たち。
無事ハッピーエンドですね。

「(嘘だろ!?)ナナシ、オレたちの新婚生活は!?」
「しんこん生活…?」
「(なぁ〜にが新婚生活だ!)そうだな、みんなで行こうぜ!」
「何着ていこうかニャ〜」
「ほら、ナナシも一緒に支度するわよ!」
「はい!」
「あ、ちょ、ナナシ!」



こうして、悪いオオカミさんとネコさんはいなくなり、平和が戻りました。
ただ、森を荒らす人間が出てきた時だけ、例のトリオがどこからともなく現れるそうです。

お嫁さんになったオオカミさんがどうなったのか―――それはまた、別のお話。