マイ・トレーナー・レディ


「だからね、ムサシ先輩はすっごくかっこいいんだあ」
「へぇ」

我ながら投げやりな相槌だが、ナナシは全然気にしない。
気にしろよ。気にしてくれる?
オレはちょーっと…いや結構面白くないんだけど?

「先輩はね、『悪党にはどくポケモンがよく似合う』って言ってたの」
「ふぅん」
「だから、ガラルのどくポケモンも仲間にしちゃうよ!」
「へぇ」

ふと思い付いて、ナナシがロケット団に入った理由なんぞ聞いたら…
まあ出るわ出るわ。大好きな先輩たちの話が。

「ムサシ先輩に認めてもらいたくってガラルに来たんだし…まだまだ頑張んなきゃ!」

問題は連発されるこの“ムサシセンパイ”ってヤツだ。
最初は普通に聞いていたが、だんだん面白くなくなってきた。
なんせそいつの話をする時のナナシは、ぽーっとしたりはしゃいだり。
まるで恋する乙女だ。

「ナナシってさあ、ムサシセンパイのこと、好きなんだな」
「もちろん大好き!」

その様子はめちゃくちゃかわいいけど、気に食わない。
お前がそうなるのはキバナさまだけじゃねえの?

「だからムサシセンパイとエッチなことしたんだ?」
「…え…え!?な、なに言ってるの!?」
「だってそうだろ?ナナシ、パイズリ知ってたじゃん。センパイに教えてもらった?」
「そ…それは……」

急に勢いを無くして、もじもじするナナシは耳まで真っ赤だ。
それを見てるといつものようにチンコがイライラしてくる。
今日はチンコ以外もイライラしてるけど。

「もしかしてさあ、センパイの為に処女守ってた?」

勢いっていうのは恐ろしいな。
一番聞きたくなかったことも口にできるんだから。

「ち、違うよ!先輩はそんな人じゃ…」

そんな人じゃない?相変わらず分かってないね。
男なんてみーんな下心あるんだぜ?
特に、お前みたいに無防備でウマソーなら。

「じゃあ、オレさまがもらってもいいよな?」
「え?あ…え?え??キ、キバナくん…???」

嫉妬っていうのは恐ろしいな。
優しくしてやるって決意さえ、簡単に溶かしちまうんだから。