「…ぉくゅり、のまなきゃ…」
腕の中にいたナナシが動き出したから、必然的にオレも起きるわけで。
ゆっくり目を開くと、どうやって抜け出そうかとモゾモゾしているので普通に笑った。
「ぇ!?ぁ…」
「おはよ」
「ぉ…ぉはょぅ…ござぃます……」
今度は逆にいそいそと布団へ潜り込んで行くナナシ。
この状況で【ちいさくなる】かよ?
もう捕まってんだから回避率上げたって無駄だぜ?
「なーにしてんの?」
「ぁ…お薬…でもキバナくん寝てて…ふ、服、着てないし…」
要はオレを起こさないように薬を取りに行こうとしたと。
でも裸なのに気付いて布団から出られないと。
なんだ?このかわいいポケモンは。新種か?新種だな。
「オレが取ってくるから待ってろよ」
「え?でも…」
「いいから、いいから」
ナナシは今横になってるから気付いてないようだが、多分立とうとしても無理だろう。
昨日ヤりまくったからな。我ながら処女相手にエグいことしたわ…中に出しまくったし。
いや当然責任は取るんだけど、最初からそのつもりではあるんだけど。
「これで合ってるよな。ほら水も」
「あ、ありがとう」
でもこれ女子的にはアウトな状況じゃね?
キバナくん最低!とか泣かれたらどうしよう。オレも泣くわ。
「キ、キバナくん、あっち向いて」
「なんで?」
「だ、だって…うう…」
たかだか錠剤を飲むだけなのに、それすらも恥ずかしいと。
からかってイチャつきたいところだが、今は大人しく反対の方向を見る。
安心したナナシが水を飲み干した直後、気になっていたことを聞いた。
「なあ、それってピルだよな」
「ぴる?」
「女の子が飲む薬」
「そうだよ?どうしてキバナくんが知ってるの?」
「あー…広告よく見るから」
それは割と有名なメーカーのピルだ。
避妊効果は言わずもがな…というわけで、真っ先に想像される最悪の泣かせ方は回避できた(と思いたい)。
「このお薬、ガラルにも売ってるんだ?」
「多分普通にその辺で買えるぜ」
「良かったぁ。ムサシ先輩、『色々試したけどこれが一番身体の負担少ないわよ』って言ってたから」
「……」
「他のって飲んだことないし…無くなったらどうしようって思ってたけど…」
「……」
ちょっと待ってくれ。
「“ムサシセンパイ”って…もしかして女?」
「え?そうだよ?」
マ ジ か よ ! ! ! ?
全力で。声には出せなかったけど、内心全力で叫んだ。
え、じゃあなに、オレは勝手に勘違いして嫉妬したってこと?
その勢いでヴァージン奪っちゃったってこと?マジで!?
「ど、どうしたの?」
「あ〜…いや…そっか…ムサシ先輩…女なの…」
めちゃくちゃダセえ。それ以上に申し訳なさすぎる。
「ムサシ先輩のこと、男の人だと思ってたの?」
「うん。だからめちゃくちゃ嫉妬した」
「え!?」
「それでイライラして…ごめんな。無理させたし、痛かっただろ」
和姦を主張したいが、実際のところは無知なこいつを言い包め襲ったわけで。
しかも手加減ナシ。これセックスがトラウマになるレベルじゃね?何してんだよオレは。
「……い、痛くなかったよ…?」
「でもさ……!?」
項垂れつつ謝罪していたオレの背中に、柔らかいものが。
ナナシが、ナナシのマシュマロおっぱいとナナシが。
「それに…あの…。…いつもと違うキバナくんも……」
「『いつもと違うキバナくんも』?」
「うう…」
ピッタリと張り付く体温と柔らかさ、それに消え入りそうな声。
ナナシのやつ、絶対今めちゃくちゃ顔赤いよな。
オレさまもだけど。あっち向いててよかった。
「ナナシ、やばい」
「ぇ?」
「元気になっちまった」
「?よかったね…?」
そうかこれだと意味通じないのか。
まあいいや。なんせ今日はオフ。時間はあるんだ。
一つずつ丁寧に教えてやろう。ゆっくり、優しく、じっくりと。
「もう少し寝ようぜ」
「キバナくん、その…服…」
「もーちょっとだけいいだろ?な?もーちょっとだけ♡」
「うう…う、うん…♡」
またエロいこと期待してんな?
昨日あんだけめちゃくちゃにされたくせに。最高だぜ。
「ほら、『大好きなキバナくん』にキスしてくれよ♡」
ナナシ、覚えておけよ?
オレがお前のハジメテの男。
お前のハジメテをぜーんぶ頂いちまう男。
「あう…う、んう…♡」
そしてお前が、オレさまの最後で唯一の女になるんだってことを。