「にゃぁ〜……」
「どうだ?盗賊らしいだろ?」
「うん!(ガイア先輩、かっこいい…♡)」
ニヒルな笑みを浮かべたガイアの衣装は、団服よりも更に煌びやかだ。
どこか野性的な雰囲気も纏う彼にナナシの鼓動は高まる。
「お前もその衣装似合っているぜ」
「リサ先生とスメール行った時、もらったの!」
「これなら新しい劇でも演じられそうだ」
「???うん…?」
ちなみに彼女も、普段と違いグリーンを基調としたワンピースを着ている。
先日スメールで某建築家にもらったそれは、森林の妖精を思わせるなんとも可愛らしい作り。
クレーやガイアが着替えるなら、と彼らに倣ったナナシもまた童話の登場人物のよう。
「『なるほど。これが噂に聞く楽園の宝石か』」
「???」
「『確かに素晴らしい。この俺が盗むに相応しい宝だ』」
「????」
声音を変え話し始めたガイアの意図を理解できず、不思議そうにしているナナシ。
相変わらず察しの悪い少女に内心満足しながら、小さな顎に手をかける。
「『このまま攫って行くか』」
「!!!……う、うん…♡」
いつもと違う恋人の様子。スッと細められた瞳から目が離せない。
アプローチを受けた黒猫は既にメロメロで、あっという間に物語は破綻した。
「おいおい、そこは拒否しなきゃ話が続かないだろう?」
「…ガイア先輩なら、いいもん…♡」
モンドからどれ程の離れた地であろうと、彼らの甘さは健在である。
「あの〜なんかお邪魔じゃないですかね」
「気にしなくて大丈夫」
「オイラたちがいなくてもああだぞ!」
「モンドの方は情熱的ですね」
「……。ガイアさんって、ナナシといる時いつもあんな感じなのか?」
「城内じゃ知らない人はいないわ。ナナシ本人は隠しているつもりだけれど」
「クレーも、ガイアおにいちゃんとナナシちゃん二人の時は邪魔しちゃダメってママに言われてるの!」
「そ、そっか…(ナナシって意外とオトナなんだな…!)」