狩り

2018/06/07

バルゾーイガナリエ
ブルーグレーの瞳を覗き込み、夜明け前の東の空のような色なので、それが目であることを、それを見る時、また見られているということを、忘れていた。熱心に見入っていたので、やんわり微笑まれ、照れてしまいマス、と優しくもしっかり窘められてしまう。
言葉が見つからずに、いろがきれいですね、と捻りのない言葉が出るが、ありがとうございます、デモ、ワタシはアナタだってオリエンタルでエキゾチック、美しいと思いマス、と顎下を擽られる。そのまま、ついと持ち上げられて吐息がかかる近さで見られる。
「明るいところだと、色が変わるのもステキですネ」
東アジア人だったら皆似たようなものだろうし、特別自分だけの特徴というわけでもないのに、その声音で世界でたったひとつになった気にさせられる。
この人に嵌ってはいけない、歯の浮く言葉を紡ぎ慣れていて、嘘だとわかる。たじろいで、距離を取ろうと身体を反らすと、背中にその人の大きくてかたい掌に当たった。思わず反対に動くと胸と胸がぶつかって飛び込む形になった。
ふっと息を漏らして微笑まれたのが聞こえた。
「もっとよく、見せてくださいマスか?」

 
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