大人の男

2018/06/24

バルゾーイガナリエとおうじたくみ
「シラジラしいデスねえ」

ティーカップを傾けて舌を濡らすと、生姜のかおりとにがみが広がる。甘さはない。
白金の大通り沿い、歩道を行き交う人々を眺めた視線を外して、半透明シェンナ色の液体がカップの中に揺らめくのが眩しい。静かな昼下がり。
オープンテラスの白いパラソルで日影で寛ぐ女性達の歓談の間を、埋もれてしまいそうな声量で、目の前のしろつるばみ色の髪をきっちりと整えた男は、同じ色のまつ毛を揺らしてこちらを見つめる。隣のテーブルから賛美の声が聞こえた。それでいて全く表情を変えず、日本語など通じませんという顔をして反応すらしない。
ふいに上がる歓声や、とまらずに変化する雑談の内容がBGMのように流れている。

「キミほどじゃないと思うよ」

 
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