殺人鬼
2018/07/08
おうじたくみ
ふたりを送り届けた後、カレースプーンのようなそれをまじまじと見返した。
地下深くに遺棄された子供たちの行く末は、確かに残念な事件ではあったが、不快感も憐憫もなかった。かえって、加害者への興味が湧きたち、技術的にも見てみたいという気持ちが勝ったが、叶うことはなさそうである。
特に鋭利な訳では無いが眼球を支える視神経と筋肉を見事に剥ぎ、かつその球体に少しも傷を付けることなく体外へ排出することができたなぞの道具。今まで見たことのない器具だが、不思議なことにイメージは出来、使用方法に困らなかった。
王路の頭の中で、事件のことは早くも風化し始める。彼は術後の経過が気になっていた、生きている人間ならこれを使ったあとの経過はどうなるのか、その傷口は?…
淵をなぞって指をすべらせるとパックリと指の腹が割れていく。
期せずしで、遺体の保全方法まで学べてなにかと収穫の多い事件であった、と王路は締めくくり、指を1度舐めてから、ギアを入れた。