見失う
きゅうこん?
誰だって同じことを出来る、代わりならいくらでもいると、言うのかも知らない。
俺だってそう思う。俺より上手くやる奴はごまんといるだろう。そもそも、おれは無能なんだし。ヒエラルキーなら最下層だ。
マウスのホイールを繰りながら名前を探していた。直近のログイン時間から少しずつ過去に遡っていった。今や、その人は、ほとんど最後のページにいた。片方しかない脛があるほうの膝を抱えて椅子の上で思案していた。
たしかに、代わりなんていくらでもいる。大繁栄を遂げた人類は余剰して社会の中でパンクしかかってる、俺より有能で人間ができてるような奴ですら生きるのに溢れるくらいだから、俺は無様に泥まみれの蛆クソまみれでギリギリ指一本掛けてるようなものだ。自分ができることが自分にしかできないことなんてそうそうない。
個人チャットを定期的に送信してみるが、そもそもログインしていないなら見ることもない。
まあ、無視されてる可能性は大いにあった。俺下手だし。根暗だし、鬱陶しい上に、道化にもならない。
いくつか被っているオンラインゲームは、どれもまあだいたい同じ時期からインしていないことはわかった。
垢捨て移動も、まあアリでしょ。こんなもん作業ゲーと言わんばかりで、特に経験値も限定アイテムもリストの穴埋めのためで希少価値やステータスそのものに興味があるわけではなさそうだった。
こんなゲーム誰とでもできるし、上手いやつは腐るほどいる。金をジャブジャブつぎ込んでレアアイテムゲットするやつもいる、コレクター魂でアイテム欄ぜんぶ開けるために生きてる人とか。
「でも、おれが知ってたのは、kon.さんだったんだけどなあ」
アンタしか知らないわけじゃないけど、ただ、だれだってできることでも、だれができるかなんて知らなくて、でもアンタができることをおれは知っていたのだ。
カチ、カチカチとマウスのみみを叩いて、いくつかのゲームをオートで走らせて家具に手を付きながら流し台まで片足飛びをしながら移動した。
思えばしばらく楽しかった、とおもう。おれは。
ただ、向こうはそうじゃなかったのかもしれないな、なにせ俺だし。足引っ張ってばっかだし。笑ってる声とか聞いたことないな、と思い返す。
残念だけど、仕方ないか、と僅かにかかるわだかまりごと水道水で流し込む。もともとひとりであそぶものだし、まあ運が良かったらどっかで見るかも知んないし、てゆか、こんなふうにトモダチでもないのに1人蒸発したくらいでネチネチしてるとか意味わかんないんですけど、気持ち悪いです、くらい思われてしまいそうだ。やめやめ。たしかに、オンゲなんてそんなもんだ。嫌ならやめる、それだけじゃん。
「おれが知ってるのは、」