同僚
2018/09/16
そのざきはじめとおうじたくみ
「お二人はお知り合いだったんですか?」
王路が非常勤救急医として勤務を続けて、数ヶ月かたった時に聞かれた言葉。つかの間の休憩だった。
「うん、元恋人。」
「え゛っ!?」
女医の素っ頓狂な声が上がる、コーヒーにむせたのか咳込むので、即座に訂正する。
「違います。大学が同じだっただけで、ただの同期ですよ」
「そっ、そうですよねぇ!ビックリした。」
「せめて友達だ、くらいは言ってくれてもいいんじゃないかな?」
「誤解されるようなことを言うな」
「冗談だったんですか、仲良いんですね」
女医は、自分の友人はみんな今は結婚して医者やめちゃって…と話を変えていく。園崎は受け答えする王路に相槌を打ちつつ紙カップを空にした。
夜勤疲れを滲ませた女医が先に戻り、王路が足を投げ出して問う。
「恋人って言われるのいやかい?」
「実際違うだろ」
「からかうと楽しくって」
それに、と王路は立ち上がる。
「ぼくにいけないこと教え込んだのはきみなのに、先に結婚したから」
仕返し、と本気なのか意図不明瞭微な笑みを貼り付けて歩き出す。
園崎はこの男に意図などないだろう、と後を追った。