飲み会

2019/03/31

そのざきはじめ結婚おめでとう飲み会
「華の独身貴族生活に終止符を打った園崎せんせ~結婚おめでとうございまーす!
うらやましくなんかねえぞ!カンパーイ!」
噴出した低い笑い声に重なるようにグラスがぶつかり合ってからりと鳴った。祝福のベルのようだった。
今回の主役でもある、外科の園崎先生は、代わる代わる贈られる祝言を受けてにこやかにしている。場に女性はおらず、独身追い出し会だった。しかし場には既婚の先生もいた。
「外科は飲み会多いよねぇ」
不意に横から声を掛けられてみると、救急の王路先生だった。
「理由をつけて飲みたいだけなんだよね、お疲れ様」
「おつかれさまです!」
聞こえてますよ!王路先生!とからかいが飛んでくるのをにこやかに受け流すとすとんとそのまま腰を下ろす。俺のジョッキになみなみ入ったウーロン茶を飲みはじめた。

「最後の救急できたひと急性胃捻転でさあ、あ、はじ…園崎先生にお祝い言えた?」
どちらかというと先輩方のほうが多い場で気後れしていることがバレているのか、その質問に答える前に「ほら、立って、自分から動けっていつも言われてるでしょ」と、痛いところを突かれた。
「あの、園崎先生、ご結婚おめでとうございます!」

 
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