ドライブ
2018/04/10
美しい顔立ちだと思っただけですよ。
社会的な、挨拶としての世間話に、御子柴さんは短い相槌と無言で返事をした。
首都高に乗って僅かに速度を増していく。車を操る彼の左手はギアを軽く乗せられ、右手はハンドルに添えてわずかな操作で、滑らかに車体を転がしている。
ランプが小気味よいテンポでなぞって照らす、彼の体躯は無駄な膨らみも物足りない凹みもない。骨ばった指先を微かに動かして指示器を付けると軽やかに追い越し車線にうつった。
角度が変わって明るみに出た横顔は、真っ直ぐと進行方向を、ただ見つめていた。温度のない人だ、と感じる。同時に現実の人だとも。睫毛が揺れて瞬きしたところを眺めたところで、短く乱暴に声をかけられる。なにジロジロ見てんだ、彼は少しだけ顔を動かしてミラーを確認するとハンドルを切った。