ハイキューごちゃ - 春風
影山(男っぽい空手部主2年)

「好きです」

はあ?と反射的に言いたい衝動を、喉のそこまできていたそれをすんでのところで呑み込んでみせて、目の前に立つ男を見た。


「ワリイ##NAME2##!あー、その、なんだ、気にすんな!」
「ちょっ、田中先輩!あの、俺!本気ですから!!」
「行くぜノヤっさん!」
「おう!悪かったな##NAME1##!!気をつけて帰れよ!」


「………何だったんだ」

バタバタと逃げるように去っていく同級生二人とそれに引きずられている問題の後輩に戸惑いが隠せない。そして周りからの目が痛い。そうだよここは学校の廊下だよ。公共の場なんだよ。おいそこの女子キャッキャしてんな。


*****
 

「おはようございます、##NAME2##先輩」
「…アンタ、昨日の」

翌朝、登校して下駄箱で靴を変えているとひょっこり現れたのが昨日の後輩。スラリと伸びた長身に小さい顔、ぺたんとしている艶やかな黒髪に鋭い眼光。確か田中たちがよく話す生意気な一年の…名前は忘れた。

「俺、影山飛雄っていいます。##NAME2##先輩が好きで──「影山ァアアア!!!!!」…ゲッ」

ペラペラと勢い良く話し出す後輩の台詞を被せるようにやってきたのは、昨日と同じく田中だった。ぶっちゃけ有り難い。またこんな公共の場で昨日と同じ目に合うのは御免だ。

「お前なァッ!昨日も言っただろ!さては聞いてなかったな!?」
「サーセン##NAME2##先輩に会えて感激しててなんも聞いてなかったです」
「素直でよろしい!ってチクショウ馬鹿野郎が!!!」

始まった漫才を尻目にさっさと教室に行こうと靴を履いた。踵潰しをしないからか、スッと足が入る。
そのまま知らぬ顔して去ろうと思ったが手を引かれて振り返れば、影山と名乗った後輩が俺の手を掴んでいた。身長に見合ったデケェ手だな。

「…なあ。私さ、公開処刑とかって大ッ嫌いなわけ」

サアッと青くなる後輩と溜め息を吐く田中が見えた。俺のことを知っている田中は別にこの後輩の邪魔をしようとしているんじゃなくて、後輩のためにストッパーになってくれているんだろう。
離れていく手のひらを見て、そのまま視線を上げて影山の顔を見る。


「情緒的にこういうことって場を考えねぇか?」
「…す、すいません」
「放課後が部活で忙しいっつーんなら昼休みでもいいし、授業合間の休みにでもいい」
「…え?」
「お前いつなら空いてんだよ」
「ひ、昼休み、いいですか、」
「分かった。お前のクラス知らねえからこっちこいよ。田中と同じクラスだから」
「はい!」
「じゃあ早く教室行けよ、遅刻すんぞ」
「はい!また」

そう言って頭を下げてから走り去る影山。溜め息を吐けば隣からパチンッと音が聞こえた。

「すまん!」

見なくても分かったが、両手を合わせて謝る田中がいた。「気にすんな」と一言言って歩きながら話す。

「昨日言ったつもりだったんだけどよ、まあアイツが言った通りお前に会えて嬉しくて聞いてなかったらしい」
「別にいいよ、過ぎたことだし。つうかなんでお前の後輩が私に…。そっちのが問題だろ。後輩がこんな先輩を好きとか言ってんだ、ヤバイ道に進みそうなんだから止めろよ」

昨日は罰ゲームかと思ったりもしたが、違うみたいだ。あの真剣な表情と目が罰ゲームで、しかもクッソくだらねえお題で出来るなら大したもんだろ。しかも今までの話し聞く限りバレーボール以外には毛程も興味のないようなヤツが。

「いやあ、俺らもな?初めはなんかの間違えだろうって思ってたわけよ、けどまあ影山本気でさ」
「なんで本気だって分かんの」
「バレーボールしてるときと同じ顔してっから」
「バレーボーラーこわ」

そう言い放って階段を登る。一段下を歩く田中が言いづらそうな顔をしていた。

「なに」
「…いや、お前も告白されんの初めてだろ?色々やりづれえだろーに、ありがとな」
「初めてじゃねえよ?」
「えっ」
「えっ?」

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春風