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※シリーズ物はデフォルト名を使用していることもあります。

軍師映画沿い

2025/05/25

用務員さんが軍師にいたら
SNSで書いてたのをそのまま持ってきたのでデフォ名(御影)です。
脳内で好きな名前に変換お願いします。
天鬼から土井半助に戻った声を聞いて、私の背後に立つ御影が小さく息を飲む気配がした。
毒を塗った手裏剣の構えを解くと、手首を掴んでいた利吉の拘束が外れる。
「私は先に学園へ戻りますので、その旨先生方にお伝え願えますか?」
「わかりました」
御影の言葉に返答しつつも、早足で部屋に入っていった青年を見送って、雑渡は地下道から脱出した。後ろに御影の気配がある。
「——よかった」
意識しなければ聞き逃すほど小さな声で男が囁いた。思わず零れた、といった感じだった。
出城を脱して森に差し掛かった頃合いで足を止める。
そのまま通り過ぎようとした御影の腕を掴んで引き寄せ、木の幹に押し付けた。
予想外のことに目を瞬かせる男をよそに、着物の合間に手を差し込んで、巻かれた包帯の上に当てると、じんわりと濡れた感触があった。
「傷、開いてるよ」
「構わない」
「いやダメでしょ。このままじゃ学園に戻る前に倒れるよ」
動きが鈍いと思っていたらこれだ。
この男に怪我を負わせられる相手となると数が限られるが、今回相対した者となると十中八九、天鬼だろう。
「学園関係者を傷つけるな。守れ」という命令と「学園に害のあるものは排除せよ」という命令に矛盾が生じたが故に、判断が遅れ避けられるはずの攻撃を受けてしまったというところか。
普通の人なら痛みで顔をしかめるような傷だが、御影は痛みがわからない。
そのせいで立ち止まれない。
このままでは失血で動けなくなるだろうに。
「嬉しそうな顔しちゃって」
「そう見えるか。そうだな、きっと嬉しいんだろうな」
体を支えられなくなってきたのか、ずり落ちそうになる体を抱き止める。そのまま地面に着地して横たわらせても御影はされるがままだ。
「増血剤はあるけどすぐ効くわけじゃない。止血するから起きてるんだよ」
「……ああ」
吐息のような声からも表情からも感情を読み取ることは難しい。けれど確かにこの男は土井半助が戻ってくることに安堵し、喜んでいるのだと雑渡は確信していた。

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