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※シリーズ物はデフォルト名を使用していることもあります。

麦わらクルー:シャンクスの好きな人について

2025/08/19

ある島の酒場。
乾杯から始まった宴は盛り上がり、そこかしこから笑い声が聞こえてくる中、ふと、ナマエが口を開いた。
シャンクスってどんな人が好みなんだ?
周囲の喧騒にかき消されてもおかしくない程度の声だったにも関わらず、海賊たちは、しん、と水を打ったように静まり返った。
周囲の様子に首を傾げながら、ナマエはジョッキに口をつける。
幹部たちは一瞬のうちに目配せを終えた。
どうする。
ひとまず静観する方向で。
ラジャー。
視線を交わした間で、おおむねこのようなやり取りが行われていた。
話題を振られた本人は、お猪口に残っていた酒を飲み干し、ひとつ息を吐いた。

「そうだな。弱さを抱えながら、仲間のために頑張る、健気で芯の強い奴かな」

真っ直ぐに目を見て答えたシャンクスに、ナマエは、えらく具体的だな、と内心でこぼした。
まるで想い人がいるような口ぶりだ。
隣の男の言葉を反芻すると、ナマエの脳裏にある人物が浮かび上がる。
心身に深い傷を負いながら、強くなるために頑張って、仲間想いで、芯が強い。

「それって、オレも知ってる人?」
「ああ、よく知ってるはずだ」

共通の知り合いで、オレがよく知っている相手など1人しか思い当たらない。
やはりそうだ。
シャンクスはルフィが好きなのだ。

シャンクスは、熱のこもった目でナマエを見ていた。まるで何かを伝えるように。訴えかけるように。
つまり、幼馴染であるオレに協力してほしいということなのか。
想いが成就するかはルフィ次第だろう。
お互いの気持ちが尊重されてほしい。
キューピットは難しいが、2人きりにするくらいならばなんとかなりそうだ。

「わかった」

決意の浮かぶ表情で、ナマエはシャンクスに向かい合う。
唇をぐっと引き結んで、喜びを堪えるような顔をするシャンクスの手を取った。

「オレもできる限り協力する。想いが実るかは2人次第だけど、上手くいくよう願ってる」
「…………は?」

ピンと張り詰めていた空気が抜けていく。
なに言ってんだこいつ、とこの場にいた面々の心がひとつになった。

「なあ、確認だが、何を協力するつもりだ?」

誰もが気になる事について副船長が踏み込んだ。

「シャンクスの恋が成就するように手伝ってほしいってこと、じゃないのか?てっきりルフィが好きなのかなって思ったんだけど」
「ちがーーう!!!」
「だってあんなに熱心に見てくるから」
「そ、れは……!とにかくお前の認識は間違ってる!」

好きだがそれは友達としてだ、と否定するシャンクス。
質問したベックマンは、笑いを堪えきれずテーブルに撃沈していた。
どうしてそうなるんだ。

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