Welcome to The BARTO CLUB !

 ドレスローザでの戦いは、振り返ってみるとたった1日の出来事だった。メラメラの実が景品にされたコロシアムや、死んだはずの友人が生きてたり。工場を壊すだけのはずが国全土を巻き込んだ戦いに発展したり。ハイカロリーなイベントが立て続けに押し寄せてきて胸焼けしそうだ。

「長かったけど、あっという間だな…」

 遠ざかる国は、今は瓦礫まみれだけれど、きっとすぐに活気を取り戻すだろう。なんたって愛と情熱と妖精の国なのだから。


 ガツンとジョッキのぶつかる音が響く。
 海賊の宴はいつも賑やかで、誰もが笑顔で語らい歌ったり踊ったりのドンチャン騒ぎだ。これだけ沢山の海賊たちと宴をするのは初めてで、大きな船なこともあり仲間たちの姿はすぐに見失ってしまった。知り合ってからそう時間も経っていないのに、まるで旧知の友であるかのように肩を組む彼らから少し離れたところに目的の人物を見つけた。

「傷の具合はどうだ?」
「完治とまではいかねぇが、走れるくらいには回復した」

 あぐらをかいて酒を煽るローの隣に座り、いくつか持ってきた料理を並べていけば妙なものを見るような顔をされる。

「パンは嫌いだって言ってたからご飯系をもらってきたんだけど、胃に優しいものとかの方がよかったか?」
「……十分だ。というか、なぜおれの世話を焼く?」

 酒に合うものとなるとどうしても味が濃くて脂っこい食事ばかりになるが、探せばさっぱりして消化に良さそうなものもあるかもしれない。思考を巡らせていると、皿からおにぎりを手に取ったローが疑問を口にする。

「右腕、いくら治療してもらってもまだ痛むだろ?」
「だから、それが何故お前がおれに構う理由になるんだ。同盟相手だからか?」
「そんなんじゃねぇよ。片腕が使えないってのは不便だろうなと思っただけだ。迷惑ならやめるが?」

 ドフラミンゴによって切り落とされた腕は、小人族によって縫い合わされ治癒されたがまだ万全ではないだろう。本人が医者なのだからオレなんかよりよっぽど理解しているだろうが、周りにいる海賊たちは良くも悪くも大雑把で重傷者でも気にせず接してくるところがある。だから少し気がかりに思っただけで、たいした理由はない。
 シャンクスが隻腕になってすぐの頃は食事ひとつにも苦労していたし、そんな姿を見かねて皿を押さえたり、服を着るのを手伝ったりしたものだ。そんな思い出が蘇って、だから何かできることがあればと思ったんだが。
 同盟組んでからこっち、話を聞かない一味のペースに呑まれて流されがちだったが、元々馴れ合いを好まないようなムーブをしていた気がするので余計なお世話だったかもしれない。

「……いや、助かる」
「おう」

 てっきりありがた迷惑だと突き返されると思っていた。
 想像に反して素直に礼を言ってきたローに不意を突かれたが、悪い気はしない。浮かしかけた腰を下ろしてジョッキを差し出せば、帽子のつばを引き下ろしながらもコツンとぶつけてくる。目元は隠れても僅かに上がる口角にこちらも自然と笑顔になった。

「他にもなんかあったら言ってくれ」
「ゾロ屋が肩組んできたせいで腕が痛む」
「それは本人に文句言ってくれ」
「じゃあ酒を」
「わかった。好みはあるか?」
「まかせる」

 酒の良し悪しはあまりわからんが、酒豪のゾロが飲んでるものなら外れることはないだろう。そんな適当さで剣士が持つのと同じ銘柄の瓶を持っていってやったり。沈黙が気まずくならない距離感が気に入って隣にいることも多かったように思う。一味のみんなが仲間で家族のようなものならば、ローは気の置けない友人のようだ。こんなことを本人に言えばきっと顔を顰めてしまうだろうから、胸にしまっておくことにする。


 今回の騒動でまた懸賞金が上がったらしい。
 新聞を見て声を上げたゾロに「新しい手配書をお見せします」とバルトロメオが挙手すれば、甲板から船内に続く扉までレッドカーペットが敷かれた。それを両側から挟むように立ったバルトクラブの面々が両手を上げて作ったアーチに思わず乾いた笑いが漏れる。
 バルトロメオのみならずクルー全員が麦わらの一味を敬愛し讃える姿勢らしい。一味の一挙手一投足になにかとオーバーリアクションをする彼らのテンションにもう慣れたのか、さして興味がないのか、気にした風もなく船内に向かうルフィを先頭にクルー達が歩いていく。その背中を追うようにカーペットに足を置いたところで待ったをかけられた。

「お前も麦わらのファンなんだろうが、悪いな。流石に子分盃も交わしてねぇ、味方じゃない海賊を船の中に入れるわけにはいかねぇ」
「え」
「だってお前ハートの海賊団だろ?」

 人相の悪い男の人差し指はオレに向いている。予想外のことに呆けている間に爆弾発言をした男もルフィ達を追って船内に入っていった。
 開いた口が塞がらない。
 パタンと閉まる扉を開けてまで追いかける気にもならない。あまりの衝撃によろよろとソファに座り込んでしまった。

「オレは……ハートの海賊団だった……?」
「違うだろ」

 太ももに肘を置き、指を組んだ両手に額を押し付けて呟けば、ローのツッコミが入る。それに反応する気力もなかった。
 麦わらの一味が好きすぎて思い切ったデザインの船まで作るような信者しかいないバルトクラブの人間に「お前は一味じゃねえだろ」と面と向かって言われるなんて思いもしなかった。彼らとはドレスローザから行動を共にしているが、まさかずっとローの仲間だと思われてたのか?そういえばバルトロメオはオレに対する当たりが強かった気がする……。

「……マジかぁ」

 そりゃあ、手配書も出てなければ新聞記事に載るような功績を挙げたこともない。オレも麦わらのクルーだとあの場で反論したとて、それを証明する手立てもなかった。ルフィがいれば鶴の一声だったんだろうが、それはなんだか卑怯な気がする。

 ソファから立ち上がり、人のまばらな甲板を横切ってガムの付いていない手すりに体をもたれさせると、海風が頬を撫でていく。爽やかに晴れ渡った空と穏やかな海なのに気持ちはどんよりと曇っている。
 今までだって散々海賊らしくないとか言われてきたし、なんてことないはずなのに。2年で少しは強くなったと思ったが、内面の鍛え方は足りないらしい。胸に溜まった暗い気持ちを吐き出すようにため息をつけども、ちっとも軽くならなかった。

「あんな奴の言葉をいちいち真に受けてたら身がもたねぇぞ」
「はは、慰めてくれんの?大丈夫だよ、平気平気」

 隣にやってきたローの言う通り、気にする必要はないんだ。ルフィに連れられて海に出てからずっと麦わらの一味なんだから。誰がなんと言おうと関係ない。
 わかってはいる。頭ではちゃんと理解している。

「……」

 それでも、普段は考えないようにしていた不安が顔を覗かせる。
 オレは本来あの船にいるはずのない人間だ。この世界にはもとより居場所などない。
 コックや航海士、医者のような航海に必須な知識も能力もなければ、戦闘員でも、技術者でも、頭が切れるわけでもない。例えば今おれが世界から消えてしまったとしても世の中は何も変わらないし、麦わらの一味の航海に支障はないだろう。
 だから、まあ、いなくてもいいんだよな。

「なあ、ナマエ」

 海から声の主へ顔を向けると目元に隈のある瞳と視線が合う。帽子のせいで陰の落ちた煤色は真っ直ぐにこちらを見つめていて、自然と背筋が伸びた。

「おれの船に乗るか?」


 ずらりと飾られた額入り手配書を前に笑ったり泣いたり怒ったりと様々な反応を見せていた麦わらの一味だったが、唐突に首を傾げたルフィに隣にいたゾロが気付いた。

「どうかしたか」

 問いかける副船長に船長は指差した先には額に飾られた色紙があった。

「ナマエのサインがねぇんだ」

 そう言われて、同じく視線を手配書から横に滑らせてみる。サインのくせに名前すら書いていないものもあるが、確かに現在この船に乗っている一味の人数に対して一枚足りなかった。

「本当だ。あいつまだ書いてねえのか」

 2人のやり取りに気付いた他のメンバーも色紙の前に移動してきた。

「どんなサインにするか決まらないとか?」
「優柔不断なとこあるもんなあ。代わりにゴッドたるおれ様が考えてやってもいいが……」
「スーパー余計なお世話だろ」
「あ、あのぉ、まことに申し訳ないんですが、その、ナマエって人は皆さまと一体どのようなご関係で……?」

 一味が話題にあげる人物に心当たりのないバルトロメオは、話の腰を折ることを心苦しく思いながらも疑問を口にした。
トラファルガーのような同盟相手というには距離が近い間柄のようだし。まさかサボ大先輩みたいに一味の誰かのお身内とか?
そんなバルトロメオの予想は尊敬するルフィ先輩の言葉で大きく裏切られることになる。

「おれの仲間だ」
「クルーの中じゃあいつが一番古株だったよな?」
「えぇ!?ゾロ先輩より先に仲間になられたお方がいらっしゃるんですか!!?」
「確か、ルフィと一緒に海に出たって言ってたな」
「見送りに行ったら拉致されたらしいわ、不憫ね」
「ナマエは手配書も出てねぇし、知らないのも無理ないかもなぁ」

 麦わらの一味を崇拝するバルトロメオは己の浅学を恥じた。憧れる海賊のクルーすら把握できていないのに何がファンか。手配書が出ていないなど言い訳にならない。新聞記事の読み込みが甘かったのかもしれない。バルトロメオは先輩方を送り届けたらコレクションのスクラップブックをもう一度読み返すことを決めた。

「ナマエって……その名前の手配書、見ました…」

 全身を震わせながら声を上げる船員に全員の視線が集まる。これから告白する事の後ろめたさでだらだらと冷汗をかく部下に、バルトロメオは詰め寄った。

「おめェそのお方の手配書どうした!?早く持ってこい!」
「そ、それが、てっきりトラファルガーのとこのクルーだと思って……一緒に捨てちゃいました……」

 泣きの入った弱々しい声で白状した部下にバルトクラブの船長は白目を剥いた。
 なんてことを……神の手配書を捨てるなんて……。
 だが自分も知らなかったので強く責めることもできない。青褪める2人から興味を失くしたゾロは、渦中の人物に話題を振ろうと視線を巡らせた。

「ていうかアイツこの部屋にいねぇじゃねえか」
「あの……トラファルガーのクルーだと思って……追い出してしまいました……!」

 目当ての人物が見当たらないことに声を上げたゾロに答えるようにまた別の船員が懺悔する。

「蚊帳の外にされてかわいそう。落ち込んでないといいけど」

 ふ、と物憂げに目を伏せたロビンの一言がメンタルにダイレクトアタックしたバルトクラブの面々は虫の息だ。

「仕方ねぇなー。呼んできてやるか」

 沈痛な空気を塗り替えるように、からりとした声でそう言って歩き出したルフィに連れ立って扉へ向かう。
 部屋を出たところでクルー達は船の手すりに腕を乗せてもたれる仲間を見つけた。ナマエは遠目にも肩を落としていることがわかる雰囲気を纏っていて、声をかけるのを躊躇われる。
 麦わら側の誰かが「気にするな」と言ったところで、最初から歓迎されていた自分たちでは火に油になりかねない。
まずはこれまでの非礼をお詫びせねば、と船を代表してバルトロメオが一歩踏み出すより早く、ナマエの隣に立つローの声が聞こえてきた。

「おれの船に乗るか?」
「あー……それもいいかもなぁ」

 声が耳に届いた瞬間、ルフィの腕が伸びる。ローと見つめあうナマエの両肩を掴んでタックルのように突撃していった。ゴンと鈍い音が響き、続いて怒声が上がる。

「いってぇ!!なんだよ急に!」
「だめだ!!お前船降りる気か?!!」
「ローがオレみたいな弱小人間なんか本気で勧誘するわけねぇだろ!」
「おれは本気だが?」
「本気だって言ってるぞ!」
「え、マジで?なんで?」

 社交辞令だと思っていたナマエは想定外の返答に首を傾げた。両手足でぐるぐる巻き付いてナマエの背中に纏わりつくルフィは言わなくていいぞとばかりに思い切り顔を顰めて威嚇している。

「常識的で、状況に応じた判断力がある。臨機応変に戦い方を変えられるのも悪くない。他人に甘すぎるきらいはあるが、味方なら信用に値する」
「ロー……!」

 思わぬ褒め言葉にナマエの中でぐらりと天秤が揺らぐ。こんなふうに言葉にして認められたのは初めてかもしれない。ぱぁ、と目を輝かせて喜ぶ幼馴染に焦ったのは船長だ。

「おれだって!おれだって……!」

 元々口より先に手が出る性格なこともあり、肝心な時に言葉が出てこないもどかしさに呻くルフィをナマエは呆れたように見つめた。

「もういいよ」

 その言葉に、さっと顔色を悪くしたルフィはいやいやと首を振って幼馴染の肩に顔を埋めてしまう。駄々をこねる子どもの仕草だ。はあ、と漏れたため息一つに、つい先日大船団の親分になった男は大袈裟に肩を揺らして抱きつく腕に力を込めた。
 これ以上やるとこの寂しがりは泣くかもしれない。
 まったくしょうがないな、うちの船長は。
 安心させるように頭を撫でて、同盟相手に向き合った。

「ロー、誘ってくれてありがとう。すごく嬉しい。けど、オレが乗る船はひとつって決めてるんだ」

 にっ、と笑ってみせれば目の前の男は面白くなさそうに口をへの字に曲げた。

「気が変わったら言え。お前ならうちの連中も歓迎する」
「うん。でも、悪いけどそれはないよ。仲間にはなれない。だから友達になってくれたら嬉しい」
「……馴れ合いはしない」
「そっか、残念。気が変わったら言ってくれ」

 お友達の誘いは素っ気なく振られてしまったが、その声にはほんの少しだけ拗ねたような感情が滲んでいた。自意識過剰かもしれないが、思っていたより仲良しになれているのかもしれない。ナマエは微笑んだ。

「ほら、いつまで抱きついてんだキャプテン。はーなーれーろー」

 幼馴染を引き剥がそうとしたが、こびり付いたガムのように引っ付くものだからナマエは早々に諦めた。顔を肩にうずめたまま、にししと笑う吐息が服から肌に当たって生温い。湿った感触もするので多分涙で濡れているんだろう。結局泣いたらしい。せめて鼻水はついてないことを祈るばかりだ。
 いくら気持ちが揺らいでも答えは最初から決まっているのに、不安になるなよバカ船長。
 行くなと、ここにいろと言ってくれるうちはオレの居場所は麦わら海賊団なのだから。
 心の中で悪態をひとつ吐いてナマエは仲間の元へ向かった。


「ナマエの奴、満更でもなさそうじゃねぇ?」
「面と向かって褒められることに慣れていないのかもしれないわね」
「おれらがあのまま部屋にいたら、船を降りてたかもしれねぇのか……」
「いやいや。そんなまさか……」

 ぽつりと漏れたゾロの言葉に一同はトラファルガーの後を付いていく仲間の姿を思い浮かべた。
 もしも、万が一、ナマエがいなくなったら。人の話を聞かないルフィの手綱は誰が握る?奇跡的な迷子のゾロを連れ帰ってくるのは?ここにいないクルーにどう説明する?
 ずっと一緒にいた、それが当たり前になっていた人物が意外とあっさり鞍替えしそうな様子に成り行きを見守っていたクルー達も気が気じゃなかった。
 事の発端になったバルトクラブは剣呑な空気にずっと胃がキリキリしていた。
 結果的にスカウトをきっぱり蹴って背中に引っ付き虫をつけたまま戻ってきたので、ひりついた空気もすっかり霧散したが。落ち込んでいた気配はなりを潜め普段通りのナマエを見て、クルー達は一瞬目配せした。

「お前は……アレだ、根性がある」
「いざとなったら度胸あるよな」
「スーパー良い奴だぜおめぇは」
「優しい人ね」
「取ってつけたように雑な褒め方すんのやめてくれねぇかな!?ありがとう!」

 咄嗟に思いつく限りの言葉を贈れば苛立ったように吠える姿に、ほんの僅か残っていた不安も綺麗に消えてなくなった。
 しおしおと雨に打たれる子犬のように震えながら謝罪するバルトクラブにも少し引き気味で対応したナマエは、麦わらの一味と分かった途端、掌をぐるんぐるんに返す面々に渋い顔をしたが致し方ないことである。


 もし、麦わら屋より早く出会っていたら、あいつはおれの船に乗っただろうか。
 ベポやペンギンたちと揃いのツナギを着て、ポーラータング号で海を渡っていけたなら。背を預けて戦っていた事もあったかもしれない。あいつが怪我を負ったり体調を崩せばおれが診て、あいつが作った握り飯を食って。復讐を胸に生きてきたこれまでの人生の中にあの男がいたら。
 そんな"もしも"を思い浮かべ、意味のないことだとローは考えを打ち消した。
 あいつはおれの手を取らなかった。
 だからこの話はもう終いなのだ。
 長年の悲願を遂げて、生きる目標はなくなったように思えた。四皇を引きずり下ろすという名目で結んだ同盟はまだ続いているし、ドフラミンゴを討った結果、カイドウとの戦闘は避けられないだろう。
 だが新たな目的のひとつとして据えるのも悪くない、そう思えた。
 一度断られて「はいそうですか」と簡単に引き下がれないくらいにはローはナマエのことを気に入ってしまっていた。
 いつも穏やかな感情を湛えていた海色が、ガラス玉のように空虚になる様を見た。あの空っぽな瞳を、自分が埋めてやりたいと、思ってしまったのだ。

「海賊は、ほしいものは奪う生き物だからな」

***

「ハッ!今おれのナマエに悪い虫が付いた気がする!!」

 新世界のある島でいつものように酒盛りをして、いつものように二日酔いに悩まされていた赤髪は、突如降って湧いた直感に勢いよく起き上がった。

「寝ぼけてねェでさっさと起きろ」
「いつまで寝てんだこの酔っ払いが」
「ナマエに懸賞金かかったぞ〜。見なくていいのかバ頭」

 寝起き早々訳の分からないことを叫ぶ船長に幹部たちの態度は辛辣だった。
 それでもわざわざ目の前に差し出された手配書を受け取ったシャンクスは、愛弟子の成長を喜ぶより先に不満を口にした。

「はぁーー!!?なんっだこの流し目は!けしからん!!こんなもんが世界中に出回ってたまるか全部回収してくる!」
「やめろ」

 頭のねじが外れた発言をするシャンクスを拳骨で沈めたベックマンは、お頭の手から滑り落ちた手配書を拾い上げる。記載された額は四皇や幹部連中の足元にも及ばないが、ついに世界の脅威として認識された弟子の門出を祝福した。

「ようやく、だな。早くここまでこいよ」

 今夜もきっと宴だろう。