▼2023/06/08:あなたの愛を知った日
「そういえばメネくん、私と居る時ってあんまり携帯見ないよね」純粋な疑問を思わず、小さくだけど、呟いた。
戸棚から先日調達したばかりのティーカップを二つ取り出してエリィゼルタがメネテーブルへ目線を向けると、それに気付いた彼はまるで『もちろん』と言う様に笑顔を向ける。
彼──メネテーブルは俗に言う裏の仕事を請け負っているのにこまめに確認しないでいいのだろうかとは内心で思うが、そんな些細かもしれない様な事が彼女にとって嬉しい事なのは事実だ。
「そうだね、君と居る時は基本的に電源は切ってるよ」
「へぇ〜……あ、はい、いつもの紅茶ねぇ」
「ありがとう」
シュガーポッドがテーブルの真ん中に置かれ、次に置かれたのは色鮮やかな琥珀色が満たされた彼用の食器。
並べる物を並べてからい自分の分を取りに戻る白髪を見つめながら、メネはカップを手に取って一口だけ先に啜った。
彼女が淹れてくれる紅茶は優しい味で香りも良くてすっかり気に入っている自分が居る、毎日でも呑みたい程には好きだ。
少しして自分の分であろうミルクティーが注がれたカップと共に戻ってきたエリィゼルタは、腰を落ち着かせる様に彼とは反対へ座ろうとした。
……のだが、何か考える様な仕種を見せた後、視線を移した先は恋人の隣。
それに気付いたメネが『おいで』と手招きすれば、嬉しそうな表情でいそいそ寄ってくる様子だから思わず笑みが浮かんだ。
あなたの愛を知った日
「ちなみに話の続きは料理や飲み物が手元へ来ても携帯を触ってる客に対して拗ねてたのを見て、エリはそういうのを好まないのかなと僕は思ったんだけれど違うかな」
「え?…それ、半月位前の話だけど覚えてたのぉ?」
2023.06/08