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2022/11/09
凪砂のフィーチャー2衣装が素敵なので彼女の反応と共に書きました。
彼の新しい衣装ができて皆にお披露目するライブの前に見てほしいと言われた私は彼の元へと訪れた。
記念すべきライブということもあり小ぶりではあるものの花束を手にし、この日をずっと待ち望んでいた彼に用意してきた祝いの言葉を忘れないようポツリポツリと呟いていた。
控え室の前に立ち止まり、意を決してドアをノックすると彼の声がドアの向こうから響く。「当日までのお楽しみ」と言われていた私は彼がどんな衣装を身に纏うのか知らない。期待からいつもより胸が高鳴っていた。
ドアノブに手をかけ、ガチャリと開ける。緊張でどうにかなりそうだ。私が入ってくることを確認した彼がソファから立ち上がり全身が現れた。
その時点で私は先ほどまで考えていたことなど頭の中から抜け落ちてしまった。咄嗟に彼の衣装への率直な感想だけが溢れた。
「なぎさ……くん、天使みたい。だよ……」
動くたびにヒラヒラと揺れるレースに胸元にあしらわれたリボンがそう思わせた。さらには色も相まって後光が差しているかのように見える。その言葉に目を丸くした彼がすぐに瞼を閉じて得意げに微笑んでいた。
「……ふふ、天使に見える? 私は天使ではないけれど」
「そ、そうだけど、あまりにも輝いているから。天国にいるみたい……」
大袈裟とも思われる言葉を口にして感嘆の溜息を漏らすと、彼は満足したのか嬉しそうに笑っていた。私の心拍数は速くなる一方で、彼の美しい姿に酔いしれた。
彼を見つめて固まる私を見て満足したのか、私の手を取ってソファに座るよう促してくれた。
彼がこの衣装でステージに立つことを想像すると胸が躍って仕方なかった。とても神秘的で、かつ惹き込まれるような、そんなステージになるだろう。
「凪砂くん、いつも暗い色の衣装が多いから明るくて淡い色は珍しいよね」
「うん」
「ステージのスポットライトに照らされてキラキラ輝いて綺麗なんだろうな……。凪砂くんの髪もライトの色で変わるから、何色にでもなれちゃうね」
「……そう。そんな風に何にでもなれる私を、今日は見て行ってほしい」
いつもと違って滑らかではないが、それでも心地よい彼の体温を感じられるその手袋で私の頬に触れる。
驚いてピクリと肩を動かす私を見て満足そうに微笑んだ彼はそのまま撫でていた。その感覚が何とも言い難いほど気持ちよくて目を瞑って彼だけを感じていた。
「……残念。君との時間をもっと楽しんでいたかったけど、もう時間だから、行かないと」
そう言って彼の熱が離れた。私は名残惜しい気持ちを堪えてコクリと頷いた。
「凪砂くんのステージ、楽しみにしてるね」
そう伝えると、いつにもなく甘く華やいだ表情でこちらを見ていた。彼の綺麗な微笑みはいつも以上に輝いていて、室内の電気でも太陽の役割を果たすほど眩しかった。