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2022/12/08

カバー曲を聴いた感想を含めた凪砂SSです。⚠️甘さ控えめです。


「そういえば、明日新曲がリリースされるんだっけ?」
「……うん。あ、もう0時だから、『配信サイト』で聴けると思うよ」
「あ、そうだよね! 聴かなきゃ」

 慌ててスマホを手に調べようと思えば、彼が何も言わずにイヤホンを取り出していた。

「……君に聴いてほしかったから、準備しているよ」
「わ、さすがだね。凪砂くん」

 ありがとう。と言ってイヤホンを受け取ろうとすれば、彼がイヤホンを離そうとしなかった。すると、「つけてあげる」と言って私の両耳につけてくれた。

「わ、」

 音楽が流れるとすぐに彼の低くて心地いい声が頭に鳴り響いた。彼の洗練された華やかな歌声。

「凪砂くん、最初から歌うんだね」
「ふふ、うん。どう?」
「かっこいい……」

 もっと素敵な言葉で彼に伝えたいけれど、彼の前では飾り付けた言葉を発することもできない。それでも「格好いい」という単語を聞くと嬉しそうに微笑むので、これはこれでいいらしい。

「歌ってる時の凪砂くん、見たいな……」
「……なるほど。そういう感想を抱くんだね」
「え?」

 無意識に溢れたらしいその気持ちは、彼に伝わっていたみたいだ。

「え、声に出てた?」
「うん」

 恥ずかしさで伏し目になっていると、考え込んでいた彼が口を開いた。

「……そうだね。でももう少し待ってくれれば、映像で見られるんじゃないかな」

 ミュージックビデオがもうすぐ公開されるということを教えてくれて、私の胸は高鳴っていた。どんな表情で、ダンスで、この歌を歌っているんだろう。何を思いながら歌っているんだろう。と、今から見るのが楽しみで頬の緩みが止まらなかった。
 その様子を見ていた彼は嬉しそうに口角を上げていた。目が合うと柔らかい表情から一変。彼のステージ上での姿が垣間見えた気がした。