(270 / 293) ラビットガール (270)

「エースの処刑時刻が早まる!?確かにそう言ったのか?」


白ひげにルフィは船で聞いた事を話す。


「なんかの準備ができてからって言ってたけど、他は暗号でよくわかんなかった。エースを助けてェのは同じだからそれだけ教えといてやる!!」

「そうか…それは大事な事を聞いた…すまねェな…」

「いいんだ!気にすんな!!」

(((何であいつ"白ひげ"と対等に喋ってんだよーーーっ!!!)))


対等に話をするルフィと、白ひげが傍にいても恐がる事無く普通にしていられるアスカにイワンコフ達は心を1つにした。
するとアスカが何かを探すようにキョキョロしだす。


「どうしたんだ?」

「そういえば、お姉さまは??」

「え゙!?姉ちゃんいんのか!?」

「そりゃいるよ、海兵なんだもん」

「姉ちゃん…?」


「このクソ女!!離しやがれ!鬱陶しいっ!!!」


「「「?」」」


姉の存在をすっかり忘れてエースを救出するしか頭に入ってなかったルフィはアスカの言葉に顔を青ざめ、アスカとは違う意味で姉を探す。
白ひげが『姉』に首をかしげていると…背後からクロコダイルの怒りの声が聞こえ振り返ると探していた姉がいた。


「クロちゃん!!!クロちゃんったら!!わたくしに会いに来てくださったのね!!!わたくし嬉しいわ!!」

「何都合のいい勘違いしてやがるんだ!!おれがお前に会いに来るわけねェだろ!!!離せ!!!!」

「いいえ!離しません!!さあ!クロちゃん!!わたくしの部下になるのです!」

「ふ・ざ・け・る・なーーーーー!!!誰がお前の部下になるか!!!くそっ!!」

「「あーーーーーーーー!!!!」」

「!」

「あら…」


振り返った姉はクロコダイルに抱きついて大喜びしていた。
そんなミコトを見てルフィとアスカはクロコダイルを指差し叫びに似た声を上げる。


「ワニ!!おめェずりいぞ!!!!姉ちゃんから離れろ!!」

「姉ちゃんだと!?」

「クロコずるいしひどい!!お姉さまを独占してる!!!」

「お姉さまだと!!?」

「あらあらまあまあ…ごめんなさいね、2人とも…再会して抱きしめたいのは山々だけど今はクロちゃんを我が物にしないといけないの…後で相手してあげるわ」

「なっ…だからお前の部下にならねェっつってんだろ!!!そういうのはアホ鳥共にしてやれ!!!!」

「ミコトちゃ〜〜〜ん!クロコちゃん相手するのはいいけどちゃんと仕事してよ〜〜??」


イライラと引っ付いて離れないミコトに苛つくクロコダイルの耳に青雉のまた苛つくような暢気な声が届いた。


「あら!クザンさん!!敵よりクロちゃんです!むしろクロちゃん>>(越えられない壁)>>敵ですわ!!!」

「あー……うん、まあ……なんというか……予想通りの答えありがとうというか…センゴクさんが怒ってるから真面目にやろうねー」

「…はーい……」


ミコトもセンゴクが恐いのかクロコダイルを放す。
するとクロコダイルは砂になって消えてしまった。
それに残念そうに見送るミコトだったが末っ子2人に振り返って両手を上げる。


「さあ、わたくしの胸に飛び込んでいらっしゃい!」

「はい!!即行きます!!」

「……っだ!だめだ!!!」


うふふ、と周りを輝かしていい笑顔を浮かべるミコトにアスカが即答で返事して胸に飛び込もうとしたがルフィに止められてしまった。


「何でよ!!お姉さまよ!お姉さま!!!行かずしてどうするの!ルフィ!!」

「〜〜っだめだ!!捕まるぞ!!あれは罠なんだ!!」

「え!?罠!?こんなご褒美みたいな罠あるの!?」

「ああ!一見ご褒美みたいだがこれは立派な罠なんだ!!あぶねェ!おれァ引っかかるところだった…!!さすが姉ちゃんだ!!」

「ルフィ!ありがとう!!私全然気がつかなかった!!でもそんな罠なら大歓迎だけど今はエースね!!エースの胸に飛び込むのね!!」

「そうだ!エースを助ける事に集中だ!!!エース!!今行くぞ!だあああああああ!!!」

「だからって突進するのはどうかと思うよ!ルフィーーーっ!!!」

「あらあら…ふふっ」


2人は真剣そのものだが周りからしたらちょっとしたコントに見えて戦場で何してんだ、という呆れたように見られてしまう。
そんな2人にミコトは愉快そうに笑う。
アスカはエースしか見ていないルフィに突っ込むがルフィは止まる事無く前に進む。


「オヤジ!!海兵達に入った通信でエースの処刑を早めるって情報が…!」

「ああ、聞いた……だが冷静になれ…そうやってもれた情報でおれ達が焦る事も計画の内だ…うっかり作戦を聞かれるなんてヘマ…あいつはやらねェ…そういう男だ!…そうだろ?小娘」

「!…黒蝶!!」

「……………」


マルコが海兵の情報を拾い白ひげに伝えるために白ひげの傍に戻る。
白ひげが後ろに居たミコトへ目をやり、マルコも気付き警戒心をあらわにする。
そんな2人を見て、そして白ひげの言葉にミコトは意味ありげに静かに笑った。


「もう!!!"下僕ウサギ"!!」

「!」


ミコトと白ひげが睨み合っていると溜息をつきながら白ウサギを出したアスカに視線が集中する。


「お行き!!ルフィを守って!!!」

「キューーー!!」


数十羽のウサギが海兵を殴り倒しながらルフィの元へ向かう。
それを見送った後腕輪のシュラハテンを弓と矢に変え、ギリギリとエースへと狙いを定める。


「おま…何してんだよい!エースを殺す気か!!?」

「うっさい、黙ってて!これ結構きついんだから!それにこれはエースの海楼石の手錠を外すためなの!殺す気なんてあるわけないじゃん!バカパイナップル!!」

「バ…!?パイ……っ!!?」

「グララララ!!!気がつえェ娘だな!!流石は"赤髪"の娘だ!」


大笑いする白ひげを無視し、アスカは弓を震える手で出来る限り引く。
矢の部分もシュラハテンになっているため矢をエースの傍に当てればシュラハテンの分身がエースの海楼石を取ってくれると考えたアスカは狙いを定めて矢から手を離した。


「!!」

「な……」


だが、その矢はエースの傍に当たる事無くミコトが素早く取って止めてしまい、無駄に終わる。
さっきまで後ろにいたミコトが宙に浮いてシュラハテンの分身の矢を持って微笑んでいるのにアスカとマルコは目を丸くし、白ひげは静かにミコトを見つめていた。


「お、お姉さま……」

「ダメよ、アスカ……わたくしとあなたは敵同士…見逃すわけないじゃない…」

「……でもっ…エースが……!!」


悲しげに自分を見上げるアスカから目を逸らし、握っている矢に目をやる。


「………これは…便利な技ね……でも、ダメよ…許さないわ」

「………っ」


シャーシャー、と蛇の姿に変えた矢をミコトは笑みを浮かべたまま砂に変える。
アスカが死なない限りシュラハテンが死ぬ事はないが改めて見る姉の能力にアスカはビクリと体を振るわせる。
サラサラと風に乗って砂が自分の手から流れるのを見送った後ミコトはアスカを見下ろす。
アスカはミコトに見られ、蛇に睨まれた蛙のように体が動かなかった。


「っ!!」

「!」


見つめあっているとミコトの背後に男が下から飛び上がって現れ、ミコトに向けて剣を振り下ろそうとする。
それに気づいたミコトが飛刀で受け止め、そのまま下へと落下してしまう。
地面に叩きつけられたのか、ミコトの姿が消え、下からの大きな音を聞きながらアスカはその場に座り込んだ。
呼吸を落ち着かせてすぐ立ち上がり足をウサギにして黄猿の攻撃をイワンコフから助けられたルフィの元へ飛んで向かう。
それを白ひげとマルコが見送り、白ひげはふとミコトが降り立った場所を見下ろす。
そこにはミコトの背後に回っていた男…復活したコテツがミコトと戦っていた。
その戦いを見ていたらマルコに話しかけられ顔を上げる。


「…"赤髪"の娘って……本当かよい、オヤジ…」

「ああ…あの小僧の帽子を父親のだと言っていたから間違いないだろ」

「アレがねい…娘が居るのは聞いていたが……」

「誰に聞いたんだ?」

「"赤髪"だよい…あいつ会う度に娘と黒蝶の話しかしないから鬱陶しいッたらありゃしねェよい」


本当に鬱陶しいと思っているのか、マルコは眉を潜める。
そんな息子を見て白ひげは愉快そうに笑った。

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