今日はクリスマス。
皆様はどうお過ごしですか?
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「なんで誰も居ないんだ!」
「さぁ…」
あかりは黒崎家でパーティーするから!と言われて約束の時刻に来たのだが、何故かそこは一護しか居らず、いくら待っても黒崎家の大黒柱と娘達は来る気配がなかった。
「どうすんだよ、この料理…冷めちまうだろ…」
「なんか事故にあったとか…」
「
ねーな、それは。」
(即答された…)
ケッと悪態ついている一護だが、内心あかりと2人っきりでドキドキしていた。
(あー、くそッ!こんな時に限ってなんで邪魔者が居ないんだよ!)
「ねぇ」
(2人っきりってやばいじゃねぇか!!)
「ねぇってば!」
(夜の家に2人っきり…しかもサンタの衣装を着やがって…こりゃ手を出してくださいと言ってるようなもんだぜ!!!)
「ねぇってば!一護くん!!」
「うお!!?」
若い一護はもんもんといけない想像をしていたが、目の前にあかりの顔が現れ驚いて立ち上がり後ろに下がる。
「ちょっと失礼じゃない…?」
「す、すまん…で、なんだ?」
「食べちゃおうよ」
「え!?もう!!?」
食べる意味が違う意味に捉えてしまった一護は顔を赤くして慌てる。
そんな一護にあかりは首をかしげる。
「駄目かな?」
「駄目じゃねぇけど…いつあいつらが帰ってくるか分からねぇーし…」
「でも一心さんから遅れたら先に食べてていいって書置きが置いてあったし…」
「あ…そっちの食べるか…」
「どっちの食べるだと思ったの?」
「い、いや、なんでもない…」
不思議そうに一護を見るあかりの純な瞳に不順な己の心がズッキンズッキンと痛み、胸を抑える。
「まぁあいつ等ならいつか帰ってくんだろ…食べるか…」
「やったー!」
嬉しそうに笑うあかりに一護は微笑ましそうに見つめ、椅子に座る。
2人が会話をしながら食事をしていたその時、ピンポーン、とチャイムが鳴り響いた。
「あ?誰だ…こんな夜更けに…」
「一心さん達かな?」
「あぁ、いい。俺がでる」
「ありがとう」
出ようとするあかりの変わりに一護が玄関へ向かい、扉を開ける。
「メローを苦しみます!!」
「
クリスマスだ馬鹿」
パーン、とクラッカーの紙が一護に降りかかり、唖然としていた一護だったが目の前の少女、ルキアの言葉に冷静に突っ込みを入れる。
「それだ!それ!!くりすます!!何でも騒いで飲んで食べて無礼講の祭りらしいではないか!!」
「どっから得たんだ、その間違った情報。」
「一護くん?」
「おぉ!あかり!可愛いな!!」
「ありがとう、ルキアも可愛いよ」
「うむ!兄様からのプレゼントの1つだ!!あかりの分もあるぞ!?」
「わ、わー…スゴーイ……」
「多すぎねェ?」
クラッカーとルキアの声で玄関に来たあかりだったが、ルキアから渡されたプレゼントの数に引きずった笑みを浮かべる。
「っていうか恋次くん凄いね…」
「感心してないでどこか置かせてくれ…」
プレゼントを持っていたのは恋次だった。
恋次は上司と部下の関係だからか断ることも出来ず、渋々持っているのだろうとあかりや一護は思っていたが、実際は白哉も行く予定だったが仕事やら何やらでいけなくなり、白哉が渋々恋次にプレゼントを預けていたのだった。
「こんばんわー!来ちゃった!」
「ゲ、乱菊さん!」
「ゲッとはなによ!ゲッとは!!!」
「僕もいるよ〜」
「あれ、京楽さん…なんで?っていうか後ろのプレゼントなに…」
すでに寄っているであろう乱菊に絡まれた一護を横目で見つめていたら京楽があかりの肩を叩き手を振る。
京楽の登場に驚いたあかりだが、何よりも一番気になるのは京楽の後ろにあるドーン、と効果音が出るほど大きなプレゼント。
「あぁ、これ?これはねぇー浮竹家一同からのプレゼントだって。」
「向こうにもクリスマスってあるんですか?」
「いんや?多分ルキア女史から聞いた浮竹がプレゼント選んでいると家臣から聞いたあの人たちが自分達も!ってなって浮竹を拉致って言い争った結果こうなったんだと思うよ」
「………相変わらず、変わらないですね…おじいちゃん達…」
「あ、これは僕からのプレゼント〜」
「ありがとうございます」
にっこりとあかりは笑顔を送る。
その間にもどんどんと死神たちは上がりこみ、2人だけのクリスマスパーティが大勢で盛り上がっていた。
「くそ…あいつら人の家で好き勝手しやがって…」
「ふふ、でもにぎやかでいいじゃない?」
あかりが浮竹一家からのプレゼントを京楽に開けてもらっていた時、絡まれていた一護があかりの隣へ避難し、あかりが見上げるといつもの倍は眉間のシワが増えていた。
それにあかりは笑って一護の眉間にグリグリとシワを伸ばすように当てる。
「俺はお前と2人の方がいいんだけどな」
「い、一護くん…」
一護の口説き文句に顔を真っ赤にさせて俯く。
そんなあかりに一護は目を細める。
「はい、イチャイチャ禁止ー」
「いっで!」
「!」
イチャイチャしていたら一護の頭にコン、と何かが当たり、2人とも顔を上げると椅子に乗って浮竹一家のプレゼントの紐を解いていた京楽がニヤニヤと笑って見下ろしていた。
「京楽!なにすんだ!」
「なにすんだも何も、僕…浮竹達から君の間の手からあかりちゃんを守れっていわれてるからさー、ごめんねー?」
「……っとに過保護だな!」
「何も言えません…」
過保護すぎる伯父達に苦笑いを浮かべるしかないあかり。
一護はいい雰囲気のところを邪魔されて少々不機嫌だった。
その時、再びチャイムがなり一護が出る。
「うおおお!!?」
「一護くん!?」
暫くすると一護の驚いた声を聞き、あかりは急いで玄関に向かった。
傍にいた京楽もついでについていく。
「…なにこれ……」
「うわー…」
そこには浮竹一家と同じ大きさのプレゼントが1つ置かれていた。
とりあえず家の中に入れて開けてみると超巨大なテディベアがドドーン、と威圧感を放ち座っていた。
「もしかして…」
その予想範囲外のテディベアの大きさに唖然としていた3人だったが、京楽が我に返り浮竹一家のプレゼントを開ける。
するともう1つ超巨大なテディベアがこれまた威圧感を放ち座っていた。
その2人の姿はまさにテディベア界の王様だろう。
「すげぇ…テレビでもこんあ大きいぬいぐるみ見たことねぇよ…」
「私も…ってこれドイツ産じゃん!」
「どいつ?どいつって?」
「国の名前だ…で、ドイツがどうしたんだ?」
「テディベアはドイツが本場なんだよ!うわー…こんなでかいのよく買えたなぁ…っていうかよくあったよね。」
2体のテディベアを見上げ、感心していたら、手紙のような物が数枚あることに気付いた。
「これ、もしかして十四郎伯父さん達が書いた手紙?」
「そうみたいだね…ってすごい悔しがってる文章だね…大人気ないなぁ…あの人達…」
京楽が呆れるのも無理もないだろう。
その手紙はあかりに会えない悲しさと誰が現世に行ってプレゼントを渡すかでの勝負で負けた悔しさを語られていたからだ。
「あれ、これ…一護くんのだよ?」
「あ?俺宛て?…誰だ?」
「名前書いてないから分かんない。」
もう1つの方のプレゼントにはあかり宛てではなく『黒崎一護様へ』と書かれた一枚の紙が。
開くとそこには…
≪ しね ≫
と書かれていた。
しかも血文字で。
「…………」
一護は即効その紙をグシャグシャにしてゴミ箱に捨てる。
その行動に手紙を読まなかったあかりは首を傾げる。
「なんだったの?」
「いや、なんでもない。普通だったよ」
「?、ふーん…」
手紙に普通ってあるの?と思ったが一護の有無を言わせない表情にとりあえず納得することに。
それから数時間、死神たちは好き勝手暴れて帰っていった。
朝、あかりは昨夜の片づけをしながら大きなテディベアをどうするか悩んだという。
そして一護はベットの中でいい雰囲気になったのにまともに触れられなかったことでへこんだという。
****************
【完】
キリがないからここまで。
最後の物騒な手紙をよこしたのは、母方の身内(姪溺愛の叔父)からです。
とりあえず死神出してみたけど京楽だけ書きたかっただけな話しになってしまった…
白哉はルキアが世話になっているという理由でプレゼントを贈りました。
その中身はやはり貴族でしょうね、庶民じゃ到底買えない物ばかり。
付け足すとね、一心さん達は一護に気をきかせてどっかで騒いでいるんだ。
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