日曜日の朝


早朝のミサが終わった頃、彼女が目を覚ます。


「おはようございます、ゆきのちゃん」
おはよぉ、なんて気の抜けた声が返ってくる。寝ぼけてるせいか僕にお構い無しに支度をし始めた。布の擦れる音に胸がどくんどくんと、早鐘を打つ。耳がやけに熱い。

彼女が支度をし、食霊たちを起こしている間に朝ごはんの支度を始めよう。
今日は何にしようかな。そういえば、そろそろ獅子唐がいい頃合いだから煮浸しにしようか、いやそれとも豚肉で巻いた方が良いだろうか?と頭の中で献立をぐるぐるとしながら庭の隅にある小さな畑へと向かった。

畑の青に付いている朝露が太陽に照らされ、きらきらと光っている。そっと獅子唐を持つとぽたりと水滴が滑り落ちた。地面に落ちた雫は土に吸収されていく。ちょきん、と鋏で丁寧にヘタを切り落として収穫し、籠に収穫したばかりの獅子唐を乗せていると、トントントンとリズムの良い音が聞こえてきた。


台所へ向かうとゆきのちゃんと長髪のいけ好かない野郎――味噌汁が朝食の支度をしていた。味は大丈夫かな、と味噌汁に味見を促す様子はまるで新婚夫婦で胸の中に仄暗い炎が燻る。が、こいつはただの女好き。"ゆきの"でないといけないわけではないだろう。腹が立つことには変わりないが、そう思うと先程より幾分かこころが楽だった。


カチッ、コンロに火をつけフライパンを熱する。手をかざし温まったことを確認し油を少し垂らすと、じゅうと音が鳴る。冷凍庫から冷凍保存している茄子を取り出しそのまま油でテカったフライパンに入れる。ぱちぱちぱちと凍っていた水が急激に蒸発させられる激しい音がする。茄子にこんがりと綺麗な焼き目がついたことを確認すると、獅子唐を追加で入れる。その間に味噌をお酒で溶いておき、フライパンの中にみりんと砂糖と一緒に入れぐつぐつと煮込む。甘い味噌の香りが空腹を誘った。

お皿に人数分盛り付け、ゆきのたちが先によそっていた味噌汁、鮭の塩焼き、納豆、白米、蕪のお漬物と一緒に並べる。



いただきます!!と、どら焼きと天ぷらの競うような大きな声を聞きながらFは食事の祈りを済ませ、食事に箸を伸ばす。

ゆきのと、その食霊たち。朝の団欒も案外悪くないなと笑みを零した。
「あれ、もうご飯1人で食べたの? 一緒に朝食でもどうかと思ったんだけど。え、フレディ獅子唐だけなの?もっと食べないとダメでしょ」
「その台詞、俺も神父さまに言いたいよ〜? フレディ、こっちにきて一緒に食べようぜ」
「あ、勝手に入ってごめんね、ノックしたんだけど返事なくて勝手に入っちゃった。

あれ、フレディなんでこの料理10皿分あるの?」