4月下旬


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TO:純
本文:今日はお疲れ様!
相変わらず元気だね!
喉は大丈夫?
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ピピピッ


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FROM:純
本文:来てくれてサンキューな!
あれぐらいじゃ咆えたうちにはいんねーよ!
だから大丈夫だ。
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「ふふっ。純らしい。」

野球部の練習が終わり帰宅をすれば幼馴染にメールを送る。今日も元気に白いボールを追いかけて咆えて走っていた純。青道に入ってからは、本来やりたかった投手ではなく外野手にコンバートをした。本人的にはレギュラーになれるなら、と外野手に回ったが、未だに投手も諦めていないらしい。


ピリリッピリリッ

「なーに純!珍しいね、電話かけてくるの!」
『おう、ちょっとな。てかお前今日の格好なんだよ!腕も足も出してよォ。もう日差し強いんだからあんな格好してっと夏には真っ黒になっちまうぞ!』
「え、あーごめん。なんか面倒くさくて。それに日傘さしたりするのも好きじゃないし。」
『おいおい少しは女子らしくしろよな。せっかく肌白いんだから勿体ねーだろうが!』
「えー?そうかなー?…あ、てかさ!1年生かなあ?すっごい変な子居たんだけど!あれだれ?」

純からの電話で観戦時の服装についてお説教をされる。いつもの事なんだけど、純は私の白い肌が焼けるのは許せないらしい。
それよりも、帰り際に見つけたあの子の話を持ち出す。1人だけ外周をさせられてた子。

『今年の1年で、変なやつ……あぁ、沢村じゃね?あいつおもしれーんだよ!初日から遅刻してきてさ、監督に謝らねーから外周させられてんの!』
「へー。野球部の監督さん怖いもんね!あと礼儀には厳しそうだし。」
『あったりまえだろ!こんだけ人数いる野球部の監督なんだ。厳しくないと部員が緩んじまう!』
「お!純がなんか副部長らしい!」
『ち、ちゃかすんじゃねぇ!!!』
「やーい純おこったー!おこなの?ねえ?おこ?純くんおこなの?」
『て、てんめぇ…ふざけんのも、いい加減にしろよ…!!』
「はーい!気をつけまーす!」
『声がニヤニヤしてんぞおい!』

純とは、かれこれ15年の付き合い。私と純の家が隣同士で、小さい頃からいつも一緒に居た。純が野球を始めてからは私も野球を見る様になった。ルールはよく分かんないけど。それでも純のプレーする姿は格好良くて、私はその姿を見るのが好きだった。

純が青道へ行くと決めて、中学生の私は自分も青道へ行こうと思った。純のプレーが見れる場所なら何処へでも行く。親には遠いと反対されたけど、なんとか説得して今に至る。

「ねえ、純。」
『あ?なんだ?』
「私ね、やっぱり純のプレーが好き!」
『っ?!あ、なんだよ急に!!』
「んー?言いたかっただけー!…あ、もう9時になる。純はこれから自主練?」
『おう、まあな。レギュラーで居続けるためには努力しねーとな。』
「そっかー、頑張ってね!じゃあおやすみ!」
『ああ、じゃあな。』
























ピッ

「んだよ、ったく。」

あいつ、わざとじゃない分たち悪りィ…。あーくそっ。ガシガシと頭をかいて寮へと戻る。バッド振って集中だ。





(てか、あいつなんで沢村なんだ?)