悠仁のお披露目についていく話
任務に任務を重ねて早一ヶ月半。今俺は五条先輩に荷物持ちをさせられてる。隣には足取り軽く悠仁が入った箱を荷台で押す先輩がいる。「なんすかこの微妙な人形」
「お土産だよー京都校の子たちにねー」
「……もしかして東京校への土産は悠仁とか言いません?」
「察しがいいねぇ!」
趣味が悪い。正直にそう思った。だからさっき箱に呪力漏れない結界張るように言われたのか。
◆ ◆ ◆
京都校側では微妙な人形、東京校側では虎杖悠仁少年がお披露目され、その後ろで京都の学長と五条先輩がバッチバチに火花を散らしている。
そして俺はというと、夜蛾学長に向けて土下座をしていた。
「悟の言いなりになるのは程々にしろとあれほど言っただろうが!!」
「すみませんごめんなさい! でも俺が五条先輩に敵うわけないじゃないですか!?」
「やかましい! いい加減NOと言える人間になれ!」
「誰あれ?」
「俺も知らない」
「野薔薇は兎も角恵も知らなかったか。一級術師の宮古場雨流。悟が断トツでヤバいだけであってあの人もかなり強いからな?」
「へぇ」
ホントかよ、という声が聞こえてきそうである。第一印象が土下座ならそうなるだろうけども。
「そういや雨流さん俺と初対面の時も土下座してたなぁ」
「いっつも土下座してるみたいな認識になるからやめてくれない悠仁!? 俺だってそうそう土下座しないよ!」
◆ ◆ ◆
夜蛾学長が五条先輩に関節技をキメながら団体戦のルール説明をする。指定された区画内に放った二級呪霊を先に祓った方が勝ちというものだ。
「はい質問」
京都校の魔女っ子風が手を上げる。名前は西宮桃だったか。参加者名簿で見た気がする。
「対象の呪霊が区画外に出たらそのまま追って良いんですか? それとも無効?」
「指定した区画から出ないように結界を張るからそれは無い。なので区画の端に呪霊を追い詰めて祓うという事も可能だ」
「え、でも指定の区画ってめっちゃ広いんじゃ……」
「問題ない」
生徒の質問に答えた後チラリと夜蛾学長がこちらを見た。大丈夫でーす余裕で張れまーす、という意味を込めてOKサインをする。
「高さは50メートルあればいいですかー?」
「は?」
魔女っ子に何言ってんだこいつ、という顔をされた。ただでさえ広い区画。それなのに高さも通常の帳よりも高いときたのだ、普通ならそんな顔もするだろう。
「一応もうちょっと欲しいです」
「えーじゃあ余裕持って100メートルくらいにしとくか」
東京校の伏黒恵くんからリクエスト頂いたので高さ上限をアップ。100メートルで大体30階建てマンションくらいだ。余裕であろう。
久々のかなり大きい結界だ。気合を入れて張ろう。そう意気込んで人差し指と中指を揃えて胸の前で構え目を瞑る。呪霊のみを閉じ込める結界。外から中はOK。そんな結界をイメージする。先に聞いていた区画の縁をなぞる様にし、高さ100メートルの結界を構築。キン、という甲高い耳鳴りの様な音が聞こえて目を開けると、イメージした通りの結界が完成されている。よし、思ったよりも時間かからなかったな。
目を開けて夜蛾学長に確認してもらおうと振り返ったら、主に京都校の生徒から驚きの目で見られていた。
「マジで結界できてるじゃん……しかもはっや、5秒もしてなくない……?」
西宮桃がドン引きみたいな顔してる。失敬な。
prev | next