くだらない小話

「好きな人できた」
 えっ。俺とショウは一度目を見合わせたあと勢いよく隊長──秀一さんを見た。こんなことを言うのはアレだが、この人は誰かを特別視することなんてないと思っていたのだ。
「だ、誰ですか!?」
「そんなに気になる?」
「気になりますよ、ですよね葵先輩」
 勢いよく頷く。そんなにかー、と他人事のように笑う秀一さんを急かした。
「来馬」
「は?」
「この間うちで鍋パした時に霜降り肉持ってきてくれたんだよ。すごくない? あれは惚れるしかない」
 漫画みたいに二人でコケた。トリオン体でよかったわ。目をぱちくりさせて「どうした?」なんて言う隊長様に、俺は一言「それは惚れますね」と答えてやった。


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