見知った英雄

 学校中から悲鳴が上がっている。皆が逃げ惑う。一ヶ月ほど前に急に現れた化け物が、俺たちの学校を襲っていた。兵器も効かなかったとかいう意味のわからない白い化け物は、俺のホームルームを荒らしていた。廊下に逃げた俺たちだが、向こうもドアを突き破ってこちらへやってくる。絶体絶命だった。
「二宮ッ、後ろ!」
 焦ったようなクラスメイトの声がする。急いで振り向くと、そこにはカマキリの鎌のようなものを構えた化け物がいた。咄嗟に目を閉じる。
 ああ、俺、ここで死ぬのか。

「アステロイド」

 聞き慣れた声がした。痛みは、来ない。恐る恐る目を開けると、そこには破壊された化け物と──
「二宮、無事か?」
 いつもと同じ顔、いつもと違う服。手から変な結晶のようなものを出している。それは紛れもなく同じ部活の部長、一ノ瀬先輩だった。


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