日常茶飯事

 じーっと犬飼の顔を見つめてみた。初めはどうしたの、とニコニコしていたこの男もさすがに数十病無言で見つめられて困惑しているようだった。それでももう少し見つめてから視線を逸らす。
「え、なになに」
「いや……胡散臭い顔だなって……」
「えーっ結論それ? 酷くない?」
 隣にいた影浦も俺に賛同してくれた。そういや影浦は犬飼のこと嫌いなんだっけ。富田もカゲも酷いよーとまた犬飼は笑った。笑いすぎだ。
「そんなに笑ってるからだろ。笑顔安売りしすぎ」
「でもさあ、真顔とかより良くない?」
「オメーは目が笑ってねぇんだよ」
「影浦の言う通り」
 また笑う。変なやつだなと影浦も俺もため息をついた。


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